DNA 電気泳動のローディングダイ: 組成、目的など
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概要: DNA loading dye とは
Loading dye は、DNA や RNA の 電気泳動 を行う際に サンプル溶液と混ぜる試薬である。青いものが多いが、緑やオレンジのものもある。Loading buffer という言い方もあるようだが、pH を一定に保つ成分が入っているわけではないので、緩衝液 buffer と呼ぶのは抵抗がある。
サンプル溶液と loading dye を混ぜる目的は、以下の 3 つである (3)。
- サンプル溶液の比重を上げ、アプライしたときに沈むようにする。
- 色素で サンプル溶液を見えるようにし、アプライを容易にする。
- 色素も泳動されるので、泳動の進行具合もわかるようになる。
Loading dye には DNA や RNA を可視化する作用はないため、DNA を見るためにはエチジウムブロマイドなどの核酸染色試薬を使わなければならない。
サイズ排除クロマトグラフィーによる loading dye の分離実験 のページも参照のこと。
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DNA loading dye の組成
青い loading dye
Molecular Cloning: A Laboratory Manual (Amazon link) には、6 x loading dye の組成として以下の 4 つが載っている。
タイプ 1 |
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タイプ 2 |
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タイプ 3 |
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タイプ 4 |
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オンラインの Cold Spring Harbor Protocols では、タイプ 3 の組成を採用している (2)。いずれの組成でも、メインの色素はブロモフェノールブルー (BPB) とキシレンシアノール (XC) である。
BPB は図 (Public domain) のような構造をもつ色素で、pH によって色が変化するので、pH 指示薬としても用いられる。分子量は約 670 である。
XC の構造は以下の通り (Public domain)。分子量は約 538。
アガロースゲルで電気泳動をするとき、BPB は XC の
1% ゲルを使った場合、BPB は約 500 bp の位置に、XC は約 4,000 bp の位置に現れる (1)。これらの長さの DNA をきれいに見たい場合には、BPB や XC を含まない色素を使う必要がある。バンドの強さを定量したい場合も同様である。
グリセロールは溶液の比重を上げるために用いている (1)。ちなみに文献 1 の LifeScienceProject は、「調製」とすべきところが多くのページで「調整」になっているので、個人的にあまり質の高いページとは考えていない。参考にする際には注意したい。
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References
- Gel loading buffer の組成. Link.
- Cold Spring Harbor Protocols. Link: Last access 2018/05/28.
Green and Sambrook, 2012a. Molecular cloning: A laboratory manual, 4th edition. Cold Spring Harbor Laboratory Press.
分子生物学関係のプロトコール集では、この本よりも有名なものはないだろう。
日本語版がない、電子書籍版もない、値段が高い、重いなど問題点は多々あるが、それでも実験室に必ずあるべき書。ラボプロトコールをまとめたりする時間を大いに節約することができる。
このサイトにあるプロトコールも、多くはこの本の記述を参考にしたものである。
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