インスリン様ペプチド ILP: 構造、機能など

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このページの最終更新日: 2024/02/14

  1. 概要: ILP とは

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概要: ILP とは

インスリン様ペプチド (insulin-like peptide, ILP) は、インスリン insulin に構造が類似したペプチドの総称である。無脊椎動物の分子に使われることが多い言葉である。

最初に発見された ILP は、カイコから 1984 年に報告されたボンビキシン bombyxin である (1I, 2)。その後、様々な無脊椎動物から ILP の報告がある。

ILP は、構造によって IGF および ILP に分類される (1I)。文献 1 では、シグナルペプチドおよび C ペプチドが除去され、A および B 鎖から成るものを ILP、C ペプチドが残り、さらに D ペプチドがあるものを IGF としている。参考のため、それぞれのペプチドの位置を示すインスリンの図 (Public domain) を載せておく。


通常は 3 対のジスルフィド結合をもつが、C. elegans や軟体動物からは 4 対のジスルフィド結合をもつ分子も報告されている。

> ショウジョウバエの ILP はよく研究されている。7 つ存在する。

  • C. elegans には 40 以上の ILP がある (1I)。

> 甲殻類には IAG と呼ばれる性決定に重要な ILP がある (1I)。

  • Insulin-like androgenic hormone の略で、androgenic gland で合成される。RNAi でノックダウンするとメスになる。
  • 文献 1 では、ロブスターから新規 ILP と結合タンパク質をクローニングしている。

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> カブトムシの角が insulin シグナル擾乱に敏感なことを示した論文 (3)。

  • カブトムシや鹿の角、シオマネキのハサミなどの male ornaments の大きさが、他の器官よりも栄養状態に左右されることが知られている。そのため、性選択においてオスの質を示す信頼できる指標として働いている。
  • 文献 3 では、このような形質が insulin/IGF シグナルへの感受性に関係が深いことを示している。
  • Drosophila では、生殖器は insulin/IGF に insensitive で、個体間のサイズ差は小さい。羽根は感受性が高い器官。
  • カブトムシ Trypoxylus dichotomus のインスリン受容体を RNAi でノックダウンしたところ、生殖器のサイズは変わらず、羽根は 2% 小さくなり、角は 16% も小さくなった。
  • Insulin/IGF による体サイズの制御は、500万年前には確立していたと思われる。その後、性選択を機能に追加するのは簡単だっただろう。
  • このような成長とリンクした性選択シグナルは、実際にエネルギーを必要とするため、質の低いオスが cheat することができないと議論している。体色は例として挙げられていないが、おそらく角の大きさに比べ cheat が容易であると想像できる。

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References

  1. Chandler et al. 2015a. Discovery of a novel insulin-like peptide and insulin binding proteins in the Eastern rock lobster Sagmariasus verreauxi. Gen Comp Endocrinol 215, 76-87.
  2. Nagasawa et al. 1984a. Amino-terminal amino acid sequence of the silkmorm prothoracicotropic hormone: Homology with insulin. Science 226, 1344-1345.
  3. Emlen et al. 2012a. A mechanism of extreme growth and reliable signaling in sexually selected ornaments and weapons. Science 337, 860-864.

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