HSP70 のアイソフォームと分子進化
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このページの最終更新日: 2024/07/26広告
概要: オルガネラ特異的な HSP70
HSP70 は一般に細胞質 cytosol および核 nucleus に局在するが、ミトコンドリア や小胞体に局在するアイソフォームもある。一般に、オルガネラ局在シグナルのために分子量が 70 Kda よりもやや大きい。発見された経緯から、別の名前で呼ばれていることもある。
細胞質・核型
通常、このタイプが「普通の」HSP70 として認識されている。C 末端の 4 残基が
小胞体型
小胞体 endoplasmic reticulum に局在するアイソフォームには、glucose-regulated protein 78 (GRP78) という名前がつけられている。この分子は HSP70-5, immunoglobulin binding protein (BiP) とも呼ばれる。
小胞体型の HSP70 は、C 末端側に
ミトコンドリア型
HSP70 にはミトコンドリアに局在するアイソフォームがあり、これは mitochondrial HSP70, mHSP70, モータリン mortalin などと呼ばれる。以下のような特徴をもつ。
- N 末端側にミトコンドリア移行のためのシグナル配列をもつ。
> Chinese hamster ovary (CHO) cell の mHSP70 に関する論文 (1R)。
- 原核生物 prokaryote の HSP70 に配列が似ている。
- In vitro mitochondria 移行実験というのが面白い。精製したミトコンドリアと混ぜると cleave される。
- さらにトリプシンで分解されなくなる。ミトコンドリアの中に入ったために酵素がアクセスできない。
- 細胞質 HSP70 と cross-react しない特異性の高い抗体を作り、免疫染色で局在を調べている。
- ミトコンドリアに主に局在するが、10-20% は細胞膜などに局在。Immunogold labeling.
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誘導型 HSP70 と恒常発現型 HSC70
一般に、ストレスなどで発現量が増大するものを HSP70、恒常的に発現しているものを heat shock cognate (HSC70) と呼ぶ。ただし、これらの区別は分子進化を反映したものではなく、熱誘導性は convergent evolution によるものと考えられている (2, 11)。分子系統に基づいた新しい名前も提唱されている (11, 図もこの論文から)。
HSC70 のノックアウト マウス は nonviable であると書かれている (3)。ただし、その部分では personal communication が引用されている。
ヒト HSP70 のアイソフォーム
ヒトゲノムからは 17 の HSP70 様遺伝子と、30 の偽遺伝子が報告されている (8)。
> HSP70 のアイソフォーム比較を中心とした総説 (9)。2007 で情報は古い。
- ヒトには少なくとも 8 個の HSP70 があり,シャペロン以外の役割もありそう。相同遺伝子のKO miceは異なる表現型。
- HSP70は,多細胞動物が単系統であることを示したり,動物界と菌界の関係を示したりするのに使われた。
- 酵母は8個のHSP70ホモログをもつ。うち2つはER, mitochondria局在型。
- ヒトHSP70-1a, 1bはわずか2残基しか違わない。
- タンパク質変性を伴わないストレスに対しても有効。リソソーム膜を安定化させる役割ももつため。
- HSP70-6はストレス誘導性が高い。7は転写されるが,フレームシフトのため機能しない。
- mRNAもHSP70の標的になる。3’ UTRに結合して,co-chaperonとともに安定化するらしい。
- 腫瘍でも発現している。原則として,分裂up,分化downの機能。
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References
Angelidis 1999a. Eur J Biochem, 259, 505-512.Krenek et al. 2013a. Convergent evolution of heat-inducibility during subfunctionalization of the Hsp70 gene family. BMC Evol Biol 13, 49.Florin 2004a. Nuclear translocation of papillomavirus minor capsid protein L2 requires Hsc70. J Virol 78, 5546-5553.Mezquita 2001a. J Cell Biochem, 82, 480-490.Tatar et al. 1997a. Chaperoning extended life. Nature 390, 30.Cherkasova et al. 2000a. Diverse Caenorhabditis elegans genes that are upregulated in dauer larvae also show elevated transcript levels in long-lived, aged, or starved adults. J Mol Biol 300, 433-448.Singh et al. 1997a. Cloning and some novel characteristics of mitochondrial Hsp70 from Chinise hamster cells. Exp Cell Res 234, 205-216.Brocchieri et al. 2008a. hsp70 genes in the human genome: Conservation and differentiation patterns predict a wide array of overlapping and specialized functions. BMC Evol Biol 8, 19.Daugaard et al., 2007a (Review). The heat shock protein 70 family: highly homologous proteins with overlapping and distinct functions. FEBS Lett 581, 3702-3710.He et al., 2008a. Cloning and characterization of a heat shock protein 70 gene, MsHSP70-1, in Medicago sativa. Acta Biochim Biophys Sin 2008, 209-216.Yu et al., 2021a. The complex evolution of the metazoan HSP70 gene family. Sci Rep 11, 17794.
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