肥満の原因かもしれない怪しいタンパク質 FTO:
構造、機能など

UBC/protein_gene/f/fto

このページの最終更新日: 2020/02/14

  1. 概要: FTO とは
  2. FTO に関する association study

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概要: FTO とは

Fat mass and obesity-associated gene (FTO) をノックアウトするか、機能を損なうような変異を導入すると、体重や fat mass は低下する (1I)。逆に、FTO を過剰発現すると体重と fat mass は増大する。

> FTO は 核酸からメチル基を除去する nucleic acid demethylase をコード (3R)。
  • Association study で FTO が同定されたあとの機能解析の論文。配列からあたりをつけて大腸菌発現。
  • Fe2+、酸素など cofacter の検討、point mutation を入れた解析。
  • DNA を基質に、脱メチル化反応を触媒することを証明。質量分析
  • YFP との fusion protein として発現、核に局在。
  • マウス で発現解析。脳 brain で mRNA の量が多い。飢餓で mRNA は低下する。

> FTO は脂肪細胞の clonal expansion を制御し、脂肪蓄積を促進する (1)。

  • Mouse embryonic fibroblast (MEF) で、FTO 過剰発現が脂肪分化促進、ノックアウトは阻害。
  • FTO を過剰発現すると clonal expansion が促進される。ノックアウトでは抑制される。
  • 脱メチル化活性がこの作用に必要。R313A mutant を使った実験。
  • サイクリン CCND1, CCND3 は脂肪細胞分化中に増えるが、FTO をノックダウンすると量が減る。
  • RUNX1T1 という分子が FTO 過剰発現で増え、ノックアウトで減る。
  • RUNX1T1 をノックダウンすると CCND1, CCND3, 細胞数が減るので、FTO はこれを介して機能。
  • RUNX1T1 には L, S isoform があり、そのバランスが分化制御に重要と考えている。
  • FTO を過剰発現する マウス は fat mass が増え、wt との差は high fat diet でさらに顕著になる。

Mitotic clonal expansion は脂肪細胞の分化に必要なステップで、分化開始前 48 h 以内に起こる (1D)。


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FTO に関する association study

FTO の 1st intron には、肥満と相関する SNP があることが多くの集団を対象とした association study で示されている (1I)。ただし、これがどのようなメカニズムで肥満に影響するのかは不明である。

FTO に関してもっとも釈然としないのは、FTO のイントロンにある SNP が FTO 自身の発現量ではなく、隣にある遺伝子 IRX3 や RPGRIP1L の発現に影響するらしいという点である (1I)。にも関わらず、上記の過剰発現・ノックアウト実験では非常に「それらしい」結果が出ている。

流れとしては、まずイントロンの SNP が見つかり、次にマウスの過剰発現・ノックアウト論文が出た後に、隣の遺伝子の可能性が指摘された。このあたりがはっきりするまで、自分でこの遺伝子を扱う気にはあまりならない。


> Intron 1 の 26 の SNP を様々な人種でテストした論文 (4)。
  • BMI との相関はAftican American では弱く、non-Hispanic white と Hispanic で強かった。
  • FTO と肥満との関係は、人種によることがわかった。

> Exon の変異をそれぞれ約 1400 人の lean および obese で調べた論文 (2)。
  • Lean subject で 33、obese subject で 35 の非同義置換を発見した。
  • Lean, obese に特異的な変異もあったが、両者で発見された変異もあった。
  • FTO の機能不全は、lean/obese のどちらの原因にもなりうるという結論。

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References

  1. Merkestein et al. 2015a. FTO influences adipogenesis by regulating mitotic clonal expansion. Nat Commun 6, 6792.
  2. Meyre et al. 2010a. Prevalence of loss-of-function FTO mutations in lean and obese individuals. Diabetes, 59, 311-318.
  3. Gerken et al. 2007a. The obesity-associated FTO gene encodes a 2-oxoglutarate–dependent nucleic acid demethylase. Science 318, 1469-1472.
  4. Wing et al. 2011a. Analysis of FTO gene variants with obesity and glucose homeostasis measures in the multiethnic Insulin Resistance Atherosclerosis Study cohort. Int J Obes, 35, 1173-1182.