シンターゼとシンセターゼの違い
UBC/biochem_basic/synthase_synthetase
このページの最終更新日: 2025/10/09- 概要
- シンターゼ・シンセターゼの定義 (狭義)
- シンターゼ
- シンセターゼ
- 広義のシンターゼ
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概要
どちらも合成酵素であるが、
一番良い覚え方は ミトコンドリア の ATP 合成酵素 (ATP synthase) だろう。ATP を作るのに ATP を使うのはおかしいと覚えれば、シンターゼとシンセターゼの違いをすぐに覚えられる。
ただし、これはどちらも EC 番号 による酵素の分類に含まれない慣用名である。
また
シンターゼ・シンセターゼの定義 (狭義)
岩波理化学辞典による定義は以下の通り。
シンターゼ
|
基質から非加水分解的にある基をとり去り 2 重結合を残す (または逆反応により 2 重結合にある基を付加する) 反応を触媒する酵素を |
シンセターゼ
|
合成酵素のうち ATP などのピロリン酸結合の加水分解と共役して 2 個の分子を結合させる反応を触媒する酵素の総称 (1)。EC 6 群。分子 X と Y を結合させるこれらの酵素は系統名では |
なお、リガーゼの定義に「ATP の加水分解に共役する」ことが含まれている (1)。整理すると、
| シンターゼ synthase | シンセターゼ synthetase | |
|---|---|---|
| 分類 | リアーゼ lyase | リガーゼ ligase |
| ATP | 使わない | 使う |
| 反応 | 2 重結合にある基を付加する。 |
2 つの分子を結びつける。化学結合を作るため、リアーゼであるシンターゼよりもエネルギーを必要とする反応である。 |
このサイトで、シンターゼまたはシンセターゼが登場するページにリンクを張っておく。
- 尿素回路 の第一ステップは、カルバモイルリン酸シンセターゼ carbamoyl phosphate synthetase によって触媒される。なぜかシンターゼと称されることも多く、これはおそらく下記の広義のシンターゼの定義を使っていると思われる。
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「あとがき」で当サイトを参考にしたと書いてくれているラノベです。Kindle Unlimited で読めました。ストーリーと文章が良く、面白かったです。
広義のシンターゼ
Handbook of Behavior, Food and Nutrition という本によると、Joint Commission on Biochemical Nomenclature (JCBN) は広義のシンターゼを any enzyme that catalyzes synthesis (whether or not it uses nucleoside triphosphates) と定義しているようである。
References
- 岩波 理化学辞典 第 4 版.
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このサイトでは、私が持っている 1987 年の第 4 版を引用していることが多い。1998 年に第 5 版が発行されている。 ネット情報の問題点の一つは、信頼できる定義になかなか出会えないことである。Wikipedia には定義らしいことが書いてあり、普段の調べ物には十分なことも多いが、正式な資料を作るときにはその引用は避けたいものである。 そんなときに役に立つのが理化学辞典や生化学辞典。中古でも古い版でもよいので、とにかく 1 冊持っておくと仕事がはかどる。 |
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