シンターゼとシンセターゼの違い
UBC/biochem_basic/synthase_synthetase
このページの最終更新日: 2024/05/16- 概要
- シンターゼ・シンセターゼの定義 (狭義)
- シンターゼ
- シンセターゼ
- 広義のシンターゼ
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概要
どちらも合成酵素であるが、
一番良い覚え方は ミトコンドリア の ATP 合成酵素 (ATP synthase) だろう。ATP を作るのに ATP を使うのはおかしいと覚えれば、シンターゼとシンセターゼの違いをすぐに覚えられる。
ただし、これはどちらも EC 番号 による酵素の分類に含まれない慣用名である。
また
シンターゼ・シンセターゼの定義 (狭義)
岩波理化学辞典による定義は以下の通り。
シンターゼ
基質から非加水分解的にある基をとり去り 2 重結合を残す (または逆反応により 2 重結合にある基を付加する) 反応を触媒する酵素を |
シンセターゼ
合成酵素のうち ATP などのピロリン酸結合の加水分解と共役して 2 個の分子を結合させる反応を触媒する酵素の総称 (1)。EC 6 群。分子 X と Y を結合させるこれらの酵素は系統名では |
なお、リガーゼの定義に「ATP の加水分解に共役する」ことが含まれている (1)。整理すると、
シンターゼ synthase | シンセターゼ synthetase | |
---|---|---|
分類 | リアーゼ lyase | リガーゼ ligase |
ATP | 使わない | 使う |
反応 | 2 重結合にある基を付加する。 |
2 つの分子を結びつける。化学結合を作るため、リアーゼであるシンターゼよりもエネルギーを必要とする反応である。 |
このサイトで、シンターゼまたはシンセターゼが登場するページにリンクを張っておく。
- 尿素回路 の第一ステップは、カルバモイルリン酸シンセターゼ carbamoyl phosphate synthetase によって触媒される。なぜかシンターゼと称されることも多く、これはおそらく下記の広義のシンターゼの定義を使っていると思われる。
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広義のシンターゼ
Handbook of Behavior, Food and Nutrition という本によると、Joint Commission on Biochemical Nomenclature (JCBN) は広義のシンターゼを any enzyme that catalyzes synthesis (whether or not it uses nucleoside triphosphates) と定義しているようである。
References
- 岩波 理化学辞典 第 4 版.
このサイトでは、私が持っている 1987 年の第 4 版を引用していることが多い。1998 年に第 5 版が発行されている。 ネット情報の問題点の一つは、信頼できる定義になかなか出会えないことである。Wikipedia には定義らしいことが書いてあり、普段の調べ物には十分なことも多いが、正式な資料を作るときにはその引用は避けたいものである。 そんなときに役に立つのが理化学辞典や生化学辞典。中古でも古い版でもよいので、とにかく 1 冊持っておくと仕事がはかどる。 |
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