アルカロイド: 定義、構造など
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概要: アルカロイドとは
アルカロイドとは、窒素を含む天然化合物を表す言葉である (1)。ただし、アミノ酸 や 核酸 は一般にアルカロイドとは呼ばれず、アルカロイドと非アルカロイドの境界は曖昧である。
アルカロイドは、バクテリア、真菌、植物 など様々な生物によって合成され、しばしば薬理作用を示す。少なくとも数千種あると考えられている。植物では、約 20% の種に含まれている。
真正アルカロイド、不完全アルカロイドなどに分類できるほか、部分構造によってさまざまなグループに分けることができる。ただし、たとえば部分構造 A と部分構造 B の両方をもつアルカロイドを A と B のどちらに分類するかという問題は常にあり、アルカロイドの完全な分類はない。
有名なアルカロイドを表にしておく。
ベルベリン |
キハダ Phellodendron amurense, オウレン Coptis japonica などの植物に含まれる。塩化ベルベリン、硫酸ベルベリンなどとして存在する。いずれも NF-κB 不活性化等による抗炎症作用があるほか、抗菌、中枢抑制、血圧降下などの作用を示す。下痢に処方されるほか、目薬にも配合される。 |
コデイン |
モルヒネにメチル基が付加された構造をもつ。リン酸コデインは鎮痛剤や下痢止めとして用いられる。WHO に必須医薬品として定められた重要な物質。 |
グラウシン |
気管支拡張作用および抗炎症作用がある。脂肪沈着を抑制する anti-cellulite activity もあるため、化粧品にも含まれる。 |
パルマチン |
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モルヒネ |
麻酔作用を示す。チロシン から合成されるアルカロイド、オピオイドの一種である。おそらく最も有名な BIA。麻薬としても使われ、ヘロイン合成の原料となる。 |
Sanguinarine |
抗菌剤。抗癌作用ももつと思われる。 |
テバイン |
鎮痛剤 oxycodone および hydrocodone をはじめ、さまざまな医薬品合成の原料となる。テバイン自体は治療に使われることはない。抑制作用よりも興奮作用の方が強く、多量に摂取すると痙攣を引き起こす。 |
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BIA
Benzylisoquinoline alkaloids (BIAs) は、図 (Public domain) のような基本構造をもつアルカロイドの一群である。2500 種類以上が知られている。
モルヒネなど、医学的に有用なアルカロイドの多くは BIA に属し、構造が複雑なため産業的にはケシ Papaver somniferum からの抽出に頼っている。酵母や大腸菌に代謝系の遺伝子を組み込み、これらを合成する方法が数多く報告されているが、収量はまだ産業化レベルには至っていない (2)。
ケシ栽培は古代から行われており、人類はこの化合物を昔から知っていた。
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References
- Alkaloid, WANI Dictionary. Link: Last access 2023/12/26.
Singh et al., 2019a. Benzylisoquinoline alkaloid biosynthesis in opium poppy: an update. Phytochem Rev 18, 1457–1482.
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