アメリカの政治: 民主党と共和党

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このページの最終更新日: 2024/07/13

  1. 概要: 民主党と共和党の大まかな違い
  2. 民主党・共和党の支持基盤の逆転 (1960 年代)

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概要: 民主党と共和党の大まかな違い

アメリカには、民主党 Democratic Party と共和党 Republican Party という二大政党がある。シンボルカラーはそれぞれ青と赤で、州を色分けした以下のような図 (Public domain, 2022年の議会選挙に基づいた赤い州、青い州の色分け) を見たことのある人も多いだろう。

なお、この「南部は赤」という勢力図は、アメリカ建国時や南北戦争時のものと逆になっている。詳細はページ下の 民主党・共和党の支持基盤の逆転 (1960 年代) を参照のこと。

2022年の議会選挙に基づいた赤い州、青い州。

民主党はリベラルで国内重視、共和党は富裕層で世界の警察というのが伝統的な立場らしいが、これは時代によって変化してきている。私は両政党とも America is No. 1 の同じ穴の狢であると思っている。

  • オバマは平和政策を掲げたが、結局のところ軍事費は増大している模様 (2)。
  • 原爆投下時の (1945) トルーマン、イラク空爆 (1991) 時のビル・クリントンはいずれも民主党である。。
  • トランプと争った民主党のヒラリー・クリントンは、ウォール街との癒着がずっと問題視されていた。

2020 年代前半の印象では、民主党は東西海岸を中心とするリベラルで、同性婚や多様性重視などの「正論」を唱えつつ、裏では金儲けをしている偽善者の集団。共和党はキリスト教の価値観からそれに怒りを覚えている農村部の比較的貧しい白人で、外国人嫌いの old-fashioned な人々という構図に思える。

以下の表は、一般に言われる民主党と共和党の違いである。

民主党: Democratic 共和党: Republic
基本路線

リベラル、大きな政府

  • 最低賃金の引き上げ
  • キリスト教的な価値観に対し柔軟

保守、小さな政府

  • 自由や資本主義を尊重
  • キリストの教えに厳格
支持層

中産階級から下の 貧しい人 が多い (1)。

  • 農家、労働者、宗教的マイノリティー
  • 民族的マイノリティー
  • かつては南部の農家で主流、現在は北部や都市部で強力になっている。

富裕層 が多い (1)。

  • "establishment" の人々、ウォール街
  • キリスト教福音派勢力
  • ハーバード、スタンフォードなど東海岸・西海岸の学費の高い大学の人々。

最近の大統領または候補者

オバマ、クリントン夫妻 トランプ、ブッシュ、レーガン

有名な大統領

リンカーン
外交

比較的、国内の政治を重視 (1) とされる。ただし、この区分は個人的には賛成しない。原爆投下時の大統領、トルーマンは民主党。

共和党との比較の問題であるが、日本に対しては少し冷たく中国重視であると言える。

アメリカは世界の警察で、他の国の民主主義を守るべきと考えている。

結果として、同じ民主主義をうたう日本に対して比較的近い立場をとる。沖縄の米軍基地が、アメリカにとって地理的に重要であることも関係している。

同性愛
中絶 abortion

賛成

イスラム教となど「宗教的マイノリティー」の価値観が混合されていると思われる。

反対

クラシックなキリスト教的価値観によるのだろう。キリスト教は同性愛や中絶を禁止し、男女の結婚があるべき姿と考えている。

民主党・共和党の支持基盤の逆転 (1960 年代)

民主党と共和党の支持基盤は、1960 年代に逆転している (3)。

アメリカ南北戦争 (1861 - 1865) は、ヨーロッパ移民から成る工業中心の北部と、多数の黒人奴隷がいる農業中心の南部の対立であった (参考: シンプルな英語で話すアメリカ史)。このとき、リンカーンを排出した共和党は北部工業地帯を地盤としていた。

この勢力図が逆転したのは、1930 - 60 年代のことである。まず、第 32 代大統領フランクリン・ルーズベルト大統領のとき (1933 - 45)、民主党は南部の農場主から北部に地盤を変更し、リペラル化していった。これによって、南部の民主党支持かつ保守の層は、自分たちの声を政治に届けることができなくなり、不満を募らせた。

この層はのちにディキシークラット (南部 Dixieland の民主党 Democrat) と呼ばれた。共和党のニクソンは、1968 年の大統領選で、民主党右派のディキシークラットを標的とした選挙戦略を展開し大勝利した。この時期、新左翼反戦運動家、公民権運動家、フェミニスト、ヒッピーなど伝統的な価値観を覆す運動が多数あり、南部保守層が不満を抱えていたことも共和党勝利の一因であった。

なお、現在のアメリカ選挙では、同性婚、中絶、マリファナなどの文化的な問題が大きな争点となるが、ニクソンの選挙戦略はこのような「文化戦争」の先駆けでもあったようだ (3)。

References

  1. 共和党と民主党の違いは根本には信仰の違い. リンク切れ http://ニュースな気分.jp/archives/454.html
  2. 米国防費の膨張が止まらない! 2016/2/26 の記事. Link. Last access 2024/05/27.
  3. 未唯への手紙. 南北戦争で北軍だった共和党の地盤がなぜいまは南部なのか? Link. Last access 2024/05/27.

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