細胞の超音波破砕: プロトコールと注意点など
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このページの最終更新日: 2024/07/26広告
概要: 超音波破砕とは
超音波破砕とは、超音波を用いて細胞や分子を破壊する方法である。生物学では、真核細胞やバクテリアの懸濁液を試料として、細胞の構造を破壊して内容物を抽出するためによく用いられる。タンパク質抽出の概要ページ も参照のこと。
生物学以外の分野では、物質の乳化や鉱物などの分散化にも使われるようだ。
超音波破砕機の使い方
超音波破砕機は、一般に発振機と振動子から構成される。振動子を液体の中に入れて作動させると、振動によって液体は激しく減圧・加圧を繰り返されることになる。これによって液中に泡が生じ、はじけた瞬間に大きな衝撃波が起こる (参考)。この衝撃波が、液体中の細胞や分子を破壊する。
大腸菌を超音波破砕するプロトコール
IPTG を用いた大腸菌によるタンパク質発現 は一般的な手法なので、大腸菌を超音波破砕してタンパク質を抽出する実験はよく行われる。
ごく一般的なプロトコールは以下のとおりである (1)。
- 培養液を 遠心分離 で回収する。3000xg, 15 分、4°C など。
- 大腸菌ペレットに lysis buffer を加える。様々なプロトコールがあるが、培養液の 1/20 量など。
- 氷上で超音波処理。10 - 15 s ずつ数回。十分に溶解するまで続ける。
- 12000xg, 30 分, 4°C で遠心し、上清を回収する。
抽出キットを用いるときは、キットに含まれている lysis buffer を用いる。アトーの EZApply 2D kit などを使ったことがある。
大腸菌発現したタンパク質の抽出なら、1.5 mL チューブでやることが多いだろう。以下は tips。
- 液が泡立ってあふれそうになったら、出力が高すぎなので調整。
- やりすぎると温度が上がる。あくまで氷上で、かつ処理しすぎないように。
- 通常は、サンプルを手で持って破砕することになる。発泡スチロールに氷を詰めたものは取り扱いにくいので、それに加えて 200 mL ビーカーぐらいのサイズの入れ物を持っていくと便利。
- 細胞が破砕されると、濁っている培養液が透明になる。
以下の動画も参照のこと。
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References
- タンパク質の抽出・細胞破砕法. Link: Last access 2024/07/15.
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