フーリエ変換と NMR

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このページの最終更新日: 2024/02/14

  1. 概要: フーリエ変換とは

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概要: フーリエ変換とは

このページでは、核磁気共鳴におけるフーリエ変換 Fourier transformation について述べる。基本的な概念は NMR の概要 ページの用語集にも記載されており、このページは詳しい解説という位置付け。

NMR の生データは、試料中に含まれる対象原子核から得られる波の重ね合わせであり、図 1 のようなものである (3)。これを free induction decay (FID) という。フーリエ変換とは、これを複数の正弦波の組み合わせに分解する以下のような作業である (図 2)。


  1. まずはじめに、全ての波は 1 つ以上の正弦波の組み合わせに分解できる という原則を受け入れる。
  2. すると、FID も複数の正弦波に分解できることになる。
  3. 正弦波は y = A*sin (ωt-φ) で表され、A は振幅、ω は周波数、φ は初期位相である。NMR では初期位相 = 0 と考えられるので、一つの正弦波を振幅および周波数の 2 つのパラメーターで表すことが可能になる。
  4. したがって、縦軸を振幅、横軸を周波数とするグラフを作ると、一つの FID を完全に表現することができる (図 3)。


図 1. Free induction decay (FID) の模式図。


図 2. フーリエ変換。


乳酸、アラニンのピーク

図 3. フーリエ変換後の NMR データ。NMR による 乳酸 および アラニン の検出を示している。縦軸に振幅、横軸に周波数をとった NMR データ。乳酸とアラニンのピークが観察されている。

周波数は、通常 ppm を単位とした 化学シフト chemical shift の形で表される。

フーリエ変換は、X 線構造解析におけるデータ解析でも重要な概念である。


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References

  1. By Lucas V. Barbosa - 投稿者自身による作品, パブリック・ドメイン, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=24830373
  2. フーリエ変換基礎講座. Link.
  3. By GyroMagician - Own work, CC BY-SA 3.0, Link