LC-MSMS: 島津 LabSolutions 覚え書き
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このページの最終更新日: 2025/11/23広告
概要
LC-MS、LC-MSMS と島津の LabSolutions についてのメモ。
LC-MS は HPLC などの「液クロ」と、質量分析の組み合わせである。液クロは HPLC であったり UPLC であったりする場合があるので、このページではまとめて「LC」と書くことにする。
LC-MS (シングル MS)
LC の検出器の後ろに MS がついており、分離した試料の質量を片っ端から同定する。
LC の検出は、260 nm などの吸光度を使って行うのが一般的である。
ただし、これは必ずしも単一の物質というわけではなく、複数の物質が近い位置に溶出されているだけという可能性がある (赤と青のピーク)。LC-MS では、溶出される成分について質量分析を行い、特定の m/z の物質のみを検出、定量する。したがって、赤の物質の m/z を指定して検出するなら、青の成分は一切検出せず、260 nm で分離されていない物質でも定量が可能となる。
LC-MSMS
LC-MS では、検出される化合物はフラグメント化されない (1)。たとえば、試料中に 分子量 180 の物質が含まれていれば、その物質からは m/z = 180 のピークが 1 つだけ得られる。
LC-MSMS では、まず LC-MS で標的物質を単離し、その物質を衝突室へ導く。ここで標的物質はアルゴンなどの不活性化ガスと衝突し、断片化する。それぞれの断片が 2 番目の MS で検出されることになる。これを衝突誘起乖離 CID (collision induced dissociation) といい、衝突前のイオンをプリカーサーイオン、衝突後のイオンをプロダクトイオンという。
上記のように、最初の MS で特定の m/z の分子を選び、衝突後のプロダクトイオンの量で定量する方法を MRM (multiple reaction monitoring) という。プリカーサーイオンの m/z、プロダクトイオンの m/z および collision energy が必須のパラメーターとなる。
タンパク質が標的の場合、まずは トリプシン などの プロテアーゼ でペプチドに分解する。このペプチドが LC-MSMS に供される。プロテオミクスの一般的な手法である。
タンパク質でない低分子物質が標的の場合は、構造によって一定の断片化パターンがある。一般に、酸素 や 窒素 など不対電子のある部分で結合が切れやすい。衝突エネルギー collision energy を設定できるので、分子によって最適な値をみつける必要がある。高すぎると分子が粉々になり、低すぎると分解されないので、いずれもあまり情報が得られない。
「スキャンモード」は、クロマトグラムの各点で MS スペクトルを取得するモードである。このモードで得られたそれぞれの MS スペクトルで、全ての m/z 信号の和として得られるクロマトグラムを TIC (total ion chromatogram) という。
島津の LabSolutions
とりあえずはランダムにメモ。
.lcm は method のファイル。メソッドを編集したら、「ダウンロード」でコンピューターから MS に情報がコピーされる。
.lcb はバッチファイル。バッチを作るときは、-1 で blank になる。系が安定していることが重要なので、blank を最初に入れておくのがよい。平衡化が十分にできていれば省略可能。
.lcd はデータファール。ダブルクリックで開くと、「再解析」モードになるはず。
Method - Data Acquisition Settings - Instrument Parameters で下の画面が開く。
メソッドビュー - 化合物テーブル。たまに、MS をとっている化合物でも定量結果がこの表に含まれていない場合がある。定量する化合物を追加したい場合は、この表の近くにある「編集」を選ぶと、表を編集できるようになる。一番右にイベントを追加できる部分があるので、まずここにイベント番号を追加。続いて化合物名や溶出時間を追加して、ビューに戻るときに保存すると、その lcd ファイルに追加したピークの定量結果が追加される。
それを「メソッドに適用」し、新しく保存したメソッドをバッチファイルで保存、「バッチ再解析」を行うと、全てのデータファイルに新しい化合物が追加される。
島津のページ等へのリンク。
References
- LC/MS/MSやMS/MSの違いは?原理からタンパク質同定の方法まで. Link: Last access 2025/01/17.
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