TNES 緩衝液: DNA の抽出に使われる緩衝液

reagents/t/tnes_buffer
2018/01/25 更新

  1. Tris とは
    • Tris の特徴
  2. TBS 緩衝液とは
    • TBS 緩衝液の組成

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Tris とは

Tris の正式名称は Tris (hydroxymethyl) aminomethane である。一見複雑な名前に思えるが,

  • Tris は tri に由来し,置換基が 3 をあることを示す接頭辞である。構造が複雑なものになると s がつく? bis-アクリルアミドなどと同じである。
  • つまり,ヒドロキシメチル -CH3OH という基が 3 個あることを意味する。
  • ヒドロキシメチル -CH2OH 基は,アミノメタン aminomethane に結合している。つまりアミノ基 -NH2 のついたメタン CH4 である。

であることから,図 1 のような構造 (2) であることがわかる。


または

図 1. Tris の構造。原子を全部書くと右のパネルのようになる。

Tris は,以下のように 水分子 と反応して ヒドロキシイオン hydroxide ion OH- を生成する。この解離反応の pKb が約 8 なので,Tris 溶液は弱アルカリ域の緩衝液として働くわけである。



Tris の説明に関係するポイントは以下の通りである。難しい部分はリンク先を参照のこと。

  • Tris は水素イオンを受け取って hydroxide ion を放出するので,アレニウスの定義でもブレンステッド・ローリーの定義でも塩基である。→ 酸・塩基の定義
  • Tris の pKb は約 8 であり,この付近の pH で最大の緩衝能を発揮する。→ 解離定数

Tris の特徴

Tris には以下のような特徴があり,Tris ベースの緩衝液を使うときは,これらを考慮することが重要である。

アミンとしての毒性がある

アンモニア NH3 の水素原子を炭化水素基 R で置換したものを総称してアミン amine [eimiːn] という。1, 2, 3 個の水素が置換されたものを,それぞれ第 1, 2, 3 級アミンと呼ぶ。上記の命名とは違った解釈であるが,Tris は第 1 級アミンでもある。

一般に,1 級アミンはタンパク質と結合する性質がある。したがって,Tris 緩衝液は酵素反応などタンパク質が重要となる反応の緩衝液には向いていない。


安価である

アガロースゲル電気泳動 など,大量に buffer を使うような実験系では,Tris ベースの緩衝液が好まれる。


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TBS 緩衝液とは

TBS とは Tris-buffered saline の略であり,Tris によって緩衝能をもたせた生理食塩水 saline の意味である。


TBS の組成

TBS の組成には決まったものがないが,以下のようなものが一般に使われている。ウエスタンブロット では,TBS に 0.1% Tween-20 を加えた TBST もよく使われる。


組成 コメント

1 x TBS の組成

  • 20 mM Tris, pH 7.4, 150 mM NaCl

組成はニッポンジーンのサイトから (2)。


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References

  1. 田村 (2014). 改訂版 バイオ試薬調製ポケットマニュアル

  1. By Klaus Hoffmeier - Own work, Public Domain, Link