水: 生物を構成する分子としての特徴

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5-22-2017 updated


  1. 概要: 分子としての水の特徴
  2. 水分子の構造
  3. 水の電離と pH
  4. 生体の構成要素としての水
  5. 加水分解

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概要: 分子としての水の特徴

水素結合

水分子の特徴は、分子間で形成される多数の水素結合 hydrogen bond (4) である。これは他の溶媒に比べて著しく多く、以下のような水の特徴を生み出している。

  1. 多くの分子 (とくに極性のある分子) を溶かすことができる (1,3)。
  2. 粘性 viscosity、表面張力 surface tension、沸点 boiling point が高い。
  3. 凍ると体積が増える。

3 については少し説明が必要かもしれない。

> 液体の状態では、水分子は動き回っており、他の分子と寿命が短い水素結合を形成している (5)。

: 37°C のとき、15% の分子は 4 つの水分子と結合した状態にある。
: この短い結合は、flickering cluster と呼ばれる。


温度が下がると、水分子の運動が緩やかになってきて、分子が直線的に並ぶ傾向が強くなってくる。すなわち、O-H という結合の延長線上にもう一つの H がくるように配列される。この構造では、液体の水よりも分子間の隙間が大きくなるので、氷の方が水よりも体積が大きい (密度が低い) のである。

なお、分子内の O と H の距離は約 0.1 nm (図 1)、水素結合を形成する O と O の距離は 0.27 nm である (5)。


加水分解

求核試薬 nucleophile として作用できる (加水分解)。

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水分子の構造

水分子 H2O は直線上ではなく、図 1 (文献 2) のように 酸素原子 を中心に折れ曲がった形をしている。水素原子の電子は酸素原子に引き寄せられており、水素は正に、酸素は負に荷電している。

このために、水分子は電荷が非対称に分布した 双極子 dipole であり、分子間で多数の水素結合を形成する。これが、水分子の特徴を作り出している。

以上が一般的な説明であるが、ここでは、水分子の構造をさらに詳細にみてみよう。


3 次元構造

実は、この平面上の図はあまり水分子の構造を正確に表したものとは言えない。水分子は、3 D の図 2 (文献 3) のようにやや非対称の 四面体 tetrahedron である (4)。

なぜこのような構造になるのかを、電子配置から考えてみたい。


図 1. 平面で表した水分子。




図 2. 水分子の立体構造。

酸素原子 の原子番号は 8 なので、その電子配置は次のようになる。




8 個の電子を内側から埋めていくので、1s 軌道に 2 個、2s 軌道に 2 個、2p 軌道に 4 個の電子が入る。ただし、2p 軌道の電子は 2 個がペアを組み、他の 2 個は単独で 不対電子 になっている。これは原子のエネルギー準位から決まるので、「なぜか」を知りたい人は大学の化学を勉強しよう。図には 2s および 2p 軌道の電子が示されている。L 殻ともいう。

一方、水素原子は 1 個の最外殻電子をもつので、酸素原子の 2 個の不対電子と相性がよい。水の電子配置は次のようになる。



直鎖状に表しているが、H の他に電子対が 2 個ある のがわかるだろう。これらは全て負電荷をもっているので、互いに反発し合い、最も離れた位置に分布しようとする。つまり正四面体の頂点である。しかし水素原子が結合している分、水分子は完全な四面体にはならず、図 2 のようにわずかに歪んだ四面体としての構造をとるようになる。

アンモニア NH3 の N にも一対の電子があり、同様に四面体構造をとる。正四面体の場合は 2 つの水素原子間の角度は 109.5°になるが、水の場合は 105°、アンモニアの場合は 107° である (4)。

水の電離と pH


生体の構成要素としての水

水は重量比で人体の約 70% を占め、最も高濃度に存在する生体物質 である。

純水のモル濃度は 55.5 M である。


加水分解

加水分解 hydrolysis が関わる生化学イベント。

  • プロテアーゼによるペプチド結合の加水分解

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References

  1. Berg et al. Biochemistry: 使っているのは 6 版ですが 7 版を紹介しています。
  2. By Benjah-bmm27 - 投稿者自身による作品, パブリック・ドメイン, Link
  3. By Benjah-bmm27 - Own work, Public Domain, Link
  4. 清水 (訳) 2015a. イラストレイテッド ハーパー・生化学 30版.
  5. Alberts et al. 2010a. 細胞の分子生物学. 第 5 版.