ヘキソキナーゼ: 解糖系第1の反応を触媒する律速酵素

protein_gene/h/hexokinase
2017/12/03 更新

  1. 概要: ヘキソキナーゼとは
  2. HX の活性調節
    • 反応生成物 G6P による調節
    • インスリンによる調節
    • HX とグルコキナーゼ

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概要: ヘキソキナーゼとは

ヘキソキナーゼ (hexokinase, HX) は D-glucose, D-mannose などのヘキソースをリン酸化する酵素である。解糖系 glycolysis の最初の反応を触媒する。

トランスポーター GLUT によって細胞内に取り込まれたグルコースは、HX によって 6 位でリン酸化され G6P となる。このリン酸基の付加によってグルコースのエネルギー準位が上がり (つまり安定性が下がり)、その後の代謝反応を受けやすくなる。

ATP のエネルギーをグルコースに付与している反応で、解糖系の以降の反応を進めるための初期投資であるとも考えることができる。


この反応はエネルギー的に不可逆であり、ヘキソキナーゼは PFK, PK とともに 解糖系の 3 つの律速酵素の一つ である。


> ヘキソキナーゼ活性には Mg2+ が必要である。
  • 上の図では単に ATP として書いていないが、細胞内では ATP はマイナスイオン ATP4- であり、これに Mg2+ が配位結合している。
  • 他の多くのキナーゼでも同様であるが、HX は実際にはこの複合体を基質にする。
  • OH 基も ATP も負電荷をもっており互いに反発するが、Mg2+ が ATP の負電荷を弱めることで ATP がグルコースに近づきやすくなる (求核攻撃が促進される)。

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ヘキソキナーゼの活性調節

ヘキソキナーゼは、反応生成物であるグルコース-6-リン酸 (G6P) によって阻害される。これは典型的なネガティブフィードバックであるが、肝臓で発現するグルコキナーゼの存在を考えた場合、グリコーゲン 合成との関連で深い意味をもってくる。


反応生成物 G6P による HX 調節

> G6P は HX が触媒する反応の生成物である (1)。筋肉で HX を阻害する。
  • G6P の細胞内濃度が増える → 次の律速段階である PFK の活性が低下している。
  • PFK は解糖系の main regulator である。ホルモン、ATP など様々な分子で活性が制御される。
  • この阻害は HX が PFK の制御を受けて、上流の流れをコントロールしていると解釈できる。

インスリンによる HX の調節

インスリン insulin はさまざまなレベルで代謝を調節する重要なホルモンである。原則として同化作用 anabolic action を示す。

HX II の転写が、インスリンによって正に制御される。


HX とグルコキナーゼ

肝臓には、hexokinase と同じ反応を触媒する グルコキナーゼ glucokinase という分子が存在する (1)。この分子には以下のような性質がある。

  • グルコキナーゼは glucose-6-phosphate による阻害を受けない。
  • グルコースへの親和性は HX の 1/50 である。つまりグルコースが豊富なときにのみ働く。

したがって、過剰なグルコースが存在する場合、以下のような現象が起こる。

  1. グルコースが解糖系および TCA 回路 で正常に代謝されると、ATP が余る状態になる。
  2. ATP は解糖系のメインの律速酵素である PFK を阻害するので、解糖系全体が slow down する。
  3. PFK 阻害によって G6P が蓄積し、HX も阻害される。
  4. HX が阻害されることによって G6P の生成量が下がるが、グルコース濃度が十分に高い場合、グルコキナーゼが G6P を作り続ける。
  5. ゆえに、解糖系および以下の代謝系がストップしていても、グルコースはとりあえず G6P にはなる。
  6. この G6P は、グリコーゲン合成に利用される。

グルコキナーゼは、解糖系の一部と考えるよりも、グルコースが過剰なときに G6P をグリコーゲン合成へ流す 酵素として理解する方が良いだろう。


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References

  1. Amazon link: ストライヤー生化学: 使っているのは英語の 6 版ですが、日本語の 7 版を紹介しています。参考書のページ にレビューがあります。