グリコーゲン: グルコースが重合してできた貯蔵糖質

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2018/06/02 更新

  1. 概要: グリコーゲンとは
  2. グリコーゲンの合成
  3. グリコーゲンの分解
    • グリコーゲンホスホリラーゼ
    • トランスフェラーゼ
    • ホスホグルコムターゼ
    • G6P (グルコース-6-ホスファターゼ)

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概要: グリコーゲンとは

グリコーゲン glycogen とは,グルコース glucose が α-1,4- および α-1,6-グリコシド結合 glycosidic bond によって重合した高分子で (図, 文献 1)、動物の主要な貯蔵糖質である。

> α-1,6-glycosidic bond が入るところで分岐する (2)。
  • 分岐はおよそ 10 のグルコースにつき 1 回入る。
  • α-グリコシド結合は,セルロースを構成する β-グリコシド結合よりも折れ曲がっている。
  • ゆえにセルロースはグリコーゲンよりも繊維状である。
  • 枝分かれのメリットは、溶解度と分解の効率が上がること。様々な酵素がアクセスしやすくなっている。

哺乳類では,主なグリコーゲン貯蔵組織は肝臓および骨格筋である (2)。細胞質に直径 10 - 40 nm の顆粒の形で存在する。


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グリコーゲンの合成

グルコースをグリコーゲン鎖の末端に付加するためには,uridine-diphosphate (UDP) と結合させ,活性化された状態にしなければならない (2)。UDP-glucose はグルコース-1-リン酸 glucose-1-phosphate (UDP) と UTP から作られる。


Glucose-1-phosphate + UTP  →  UDP-glucose + PPi


リン酸基が 2 つ外れることに注意する。グリコーゲン合成は


Glycogen +  UDP-glucose  →  Glycogen (1 残基長い) + UDP


である。この反応は グリコーゲン合成酵素 glycogen synthase に触媒される (2)。UDP は,ATP のリン酸基を使って UTP にリサイクルされる。


Glycogen synthase は,4 残基以上の既存の glycogen を伸長する酵素 (2)。α-1,4-グリコシド結合のみを作る。α-1,6-グリコシド結合による枝分かれは branching enzyme が作る。

> Glycogen synthase は PKA および GSK にリン酸化され,不活性化する (2)。
  • GSK は glycogen synthase kinase。インスリン によって活性化される (2)。
  • グリコーゲン分解の glycogen phosphorylase は,PKA によって活性化する。
  • つまり、PKA は合成の停止と分解の開始を同時に行う。

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グリコーゲンの分解

グリコーゲンの分解は,以下の 3 つの段階から成る (2)。4 つの酵素 enzyme が必要である。

  1. グリコーゲンからグルコース-1-リン酸 glucose-1-phosphate (G1P) が遊離する。
  2. グリコーゲンは,さらなる分解のために構造変化を起こす。
  3. G1P がグルコース-6-リン酸 glucose-6-phosphate (G6P) に変換される。

グリコーゲンホスホリラーゼ

グリコーゲンホスホリラーゼは,グリコーゲンに無機リン Pi を付加して G1P を遊離させる酵素である (1,図は文献 3)。この酵素は,リン酸化と AMP による制御を受けている。詳細はリンク先を参照のこと。

Glycogen + Pi  →  Glucose-1-phosphate + Glycogen (1 残基短い)



トランスフェラーゼ

Glycogen phosphorylase は α-1,6-グリコシド結合を切ることができない。また,α-1,6-グリコシド結合による分岐があると,その 4 残基手前で α-1,4-グリコシド結合の切断も止まってしまう (2)。

その場合,transferase が 3  つの残基を下の図のように移し替えることで,α-1,4-グリコシド結合が切断されるようになる。1 個だけ残った α-1,6-グリコシド結合による分岐は,α-1,6-glucosidase で切断される (1)。これは加水分解であり,G1P でなくグルコースが生じる。

Transferase と α-1,6-glucosidase は,1 本のポリペプチド上に存在する bifunctional enzyme である (1)。



ホスホグルコムターゼ

G1P を G6P に変換する酵素は ホスホグルコムターゼ phosphoglucomutase である (2)。ムターゼ mutase は英語では [mjuːteiz] と発音し,リン酸基などの分子内転移を触媒する酵素のことをいう。解糖系の phosphoglycerate mutase と混同しないように注意すること。


G6P

G6P は 解糖系 の中間体である。多くの生物では、ヘキソキナーゼ がグルコースをリン酸化する解糖系の最初の反応で生じる。G6P は、原則として以下の 4 つのいずれかの運命をたどる。

  1. 解糖系で代謝される。
  2. ペントースリン酸経路 に入る。
  3. グリコーゲン合成に使われる。
  4. グルコースに脱リン酸化され、血液中に放出される。

グリコーゲンが分解されるような状況では、細胞はややエネルギー不足の状態に陥っていると考えられる。よって、グリコーゲン由来の G6P は 1 の運命をたどることが多いだろう。

肝臓と腎臓は、血液を介して他の臓器にグルコースを供給するという役割ももっている。その場合、G6P は 4 の運命をたどる。G6P からリン酸基を取り除く酵素は グルコース-6-ホスファターゼ である。紛らわしいことに、この 酵素 も G6P と略されることがある。

糖新生のページ でも見たように、G6P はリン酸基のもつ電荷のために 細胞膜 を透過しにくいが、グルコースは GLUT により細胞外に受動輸送される。したがって、肝臓と腎臓が血液中にグルコースを放出することと、肝臓と腎臓でグルコース-6-ホスファターゼが発現していることはよく対応する。


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References

  1. パブリック・ドメイン, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=611992
  2. Berg et al. 2006a. (Book). Biochemistry, 6th edition.

  1. By Jmun7616 - 投稿者自身による作品, パブリック・ドメイン, Link