TOR と mTOR:
機能、下流シグナル、栄養および寿命との関係など

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このページの最終更新日: 2020/02/18

  1. 概要: TOR とは
  2. TOR の下流シグナル
  3. TOR と寿命

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概要: TOR とは

TOR は target of rapamycin の略であり、rapamycin によって活性が阻害されることから同定されたセリン/スレオニンキナーゼを TOR という。哺乳類の TOR を、とくに mTOR (mammalian target of rapamycin) という。また、TOR を含む複合体は TOR complex の略で mTORC1, mTORC2 のように呼ばれる。

mTOR は PI3K-related kinase family に属するセリン/スレオニンキナーゼである。

Rapamycin は最初にその抗菌活性を指標に発見されたが、のちに T 細胞の分裂を抑制する作用があることが明らかになった (5,6)。Rapamycin には以下のような活性があることが知られている。

  • アンチエイジング、寿命の延長
  • G1/S cell cycle arrest
  • オートファジー
  • 翻訳の抑制

したがって、これらは TOR を通じて制御されている生命現象であるとも言える。

mTORC1 および mTORC2 は機能が異なっており、mTORC1 はタンパク質および脂質の合成、リボソームの合成、リソソームの合成などを促進する。mTORC1 は rapamycin によって強く阻害される。

mTORC2 の rapamycin sensitivity は、細胞の種類によって異なる。胸腺、腎臓、胃などの mTORC2 は rapamycin で全く阻害されない (7)。


TOR の下流シグナル

以下のような分子が TOR によって制御されることが知られている。

S6K

Protein kinase A, G および C を含む AGC キナーゼファミリーに属し、S6 ribosomal protein をリン酸化する。このリン酸化によって、リボソームの合成が促進される。TOR がタンパク質合成を促進する主要な経路の一つ。

4EBP1

TSC1/2

Tuberous sclerosis complex 1/2 の略。


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TOR と寿命

酵母

> TOR シグナルが低下すると、カロリー制限と同様に発酵から呼吸への代謝シフトが起こる(2)。

> TOR1 の変異による長寿は、sch9 の不活性化による(4R)。

  • TOR1 mutant と、TOR1/Sch9 double mutant は寿命が変わらない。
  • Sch9 が TOR 経路の直接の標的であることとよく一致する。

> TOR1, Sch9, Ras2 による寿命制御は、どれもキナーゼ Rim15 を介する(4D)。

  • Rim15 は、ストレス応答性遺伝子を転写する転写因子 Msn2/4, Gis1 を正に制御する。

>TOR1, Sch9, Ras2 の変異体は、どれも TCA回路などミトコンドリア遺伝子の発現が低い (4R)。

  • 解糖、発酵に関連する遺伝子の発現は増大。糖新生は変わらず。マイクロアレイ。
  • グリセロール合成系の遺伝子の発現も増大。
  • ただし、TOR1 mutant ではミトコンドリアの呼吸が増大しているという報告もある。

線虫

> Knockdown of LET-363/CeTOR in adult life more than doubled the life span of worm (4I).

> Similarly, a reduced activity of Daf-15 promotes life span extension (4I).Daf-15 is the worm ortholog of the mammalian mTOR-interacting protein raptor.

> CeTOR のノックダウンとカロリー制限の寿命延長効果は重ならない(4I)。


ショウジョウバエ

> Overexpression of DN-dTOR or TOR-inhibitory dTsc1/2 proteins leads to longevity (4I).

> Rapamycin を食べさせても寿命が延長する (3)。

マウス

> Rapamycin 投与で、マウスの寿命が 9-14% 延長する (1)。

  • ただし、インスリン抵抗性や血糖値の上昇を引き起こし、2 型糖尿病のリスクも上がる。
  • Rapamycin は薬としても使われるが、認可されている量は寿命延長に必要な量の 1/10 以下である。

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References

  1. Lamming et al. 2012a. Rapamycin-induced insulin resistance is mediated by mTORC2 loss and uncoupled from longevity. Science 335, 1638-1643.
  2. Kaeberlein 2010a. Lesson on longevity from budding yeasts. Nature 464, 513-519.
  3. Bjedov et al. (2010). Mechanisms of life span extension by rapamycin in the fruit fly Drosophila melanogaster. Cell Metab. 11, 35–46.
  4. Wei et al. 2009a. Tor1/Sch9-regulated carbon source substitution is as effective as calorie restriction in life span extension. PLoS Genet 5, e1000467.
  5. Dumont et al. 1990a. Distinct mechanisms of suppression of murine T cell activation the related macrolides FK-506 and rapamycin. J Immunol 144, 251-258.
  6. Martel et al. 1977a. Inhibition of the immune response by rapamycin, a new antifungal antibiotic/ Can J Physiol Pharmacol 55, 48-51.
  7. Schreiber et al. 2015a. Rapamycin-mediated mTORC2 inhibition is determined by the relative expression of FK506-binding proteins. Aggeing Cell 14, 265-273.

Ref. 4 is an open-access article distributed under the terms of the Creative Commons Attribution License, which permits unrestricted use, distribution, and reproduction in any medium, provided the original author and source are credited. Also see 学術雑誌の著作権に対する姿勢.


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