細胞周期を制御するチェックポイントキナーゼ Chk:
構造と機能

UBC/protein_gene/c/chk

このページの最終更新日: 2024/02/14

  1. 概要: チェックポイントキナーゼとは
  2. チェックポイントキナーゼ 1 (Chk1)

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概要: チェックポイントキナーゼとは

細胞周期 は大きく G1 期、S 期、G2 期および M 期に分けることができ (図, Public domain)、その進行にはいくつかのチェックポイントがある。チェックポイントキナーゼ (checkpoint kinase, Chk) は、チェックポイントにおける細胞の応答を調整し、細胞周期を制御するキナーゼである。


細胞周期とチェックポイント

Chk1 および Chk2 の 2 種類がある。

チェックポイントキナーゼ 1 (Chk1)

Chk1 は、DNA の損傷 に応答して細胞周期を制御する (図, ref 1)。関与するチェックポイントは一つではなく、細胞周期のさまざまな段階に影響する。

有名な上流の分子は ATR である。ATR は Chk1 を S317 および S345 でリン酸化して活性化する (2)。活性化された Chk1 は、さらに下流の分子をリン酸化し、細胞周期の停止、複製フォークの安定化、DNA 修復などを行う。

細胞周期を止める際には、サイクリン依存性キナーゼの Cdc25 をリン酸化し、プロテアソーム系による Cdc25 の分解を誘導する。


細胞周期とチェックポイント

Ser345 のリン酸化は、Chk1 のキナーゼ活性を増大させ、細胞周期の停止や DNA 修復を引き起こす (2I)。一方で、このリン酸化はユビキチン-プロテアソーム系によるChk1 の分解も活性化する。DNA 損傷を引き起こすような genotoxic stress が長く続くと、active Chk1 の量が低下し、細胞周期が止まらなくなる可能性がある (3)。

Chk2 はどのステージでも存在するが、DNA のダメージが検出されるまでは不活性化されている。Chk1 は主に S および G1 期で発現する。

活性化された Chk1 および Chk2 は、Mdm2, p53, Brca2, E2Fa, TLK, Pml などの活性を制御する。

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References

  1. Gorecki et al. 2021a (Review). Clinical candidates targeting the ATR-CHK1-WEE1 axis in cancer. Cancers 13, 795, 2021.
  2. Zhang et al. 2009a. The F box protein Fbx6 regulates Chk1 stability and cellular sensitivity to replication stress. Mol Cell 35, 442-453.
  3. Niida et al. 2005a. Depletion of Chk1 leads to premature activation of Cdc2-cyclin B and mitotic catastrophe. J Biol Chem 280, 39246-39252.

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