メタボリックシンドローム: 定義、症状、原因、治療など

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このページの最終更新日: 2024/02/14

  1. 概要: メタボリックシンドロームの定義の変遷
  2. 各国のメタボリックシンドロームの定義
  3. メタボリックシンドロームの現状

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概要: メタボリックシンドロームの定義の変遷

メタボリックシンドローム metabolic syndrome とは、二型 糖尿病 や 心血管疾患 (cardiovascular diseases; CVD) のリスクを増やすような複雑な代謝異常のことを示す概念である (7)。

一般的に、以下のような要素から成る。

  • 高血糖
  • 高血圧
  • 高脂血症
  • 低 HDL-コレステロール

メタボリックシンドロームという概念は、Reaven によって 1988 年に最初に提唱された。このときの名前は "Syndrome X" であった。

その後、WHO や American Heart Association などが個別にメタボリックシンドロームを定義する時代がしばらく続き、現在では 2009 年に作られた International Diabetes Foundation (IDF) の定義が広く使われるようになっている。


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各国のメタボリックシンドロームの定義

メタボリックシンドロームとは、そもそも糖尿病などさらなる病態への予防として考えられた概念であるが、たとえば肥満度と糖尿病の発症リスクとの関係は人種、性別などによって異なる (7)。ゆえに、理想的には患者のタイプに応じた様々な定義が併用されるべきである。

日本とアメリカの定義をまとめてみた。


日本

以下の 4 項目に該当すると、メタボリックシンドローム metabolic syndrome と判定される (1)。


肥満

高血圧

脂質異常

絶食下の血中 トリアシルグリセロール 濃度が 150 mg/dL かつ or または HDL-コレステロール濃度が 40 mg/dL 以下の場合に脂質異常と判定される (3)。LDL-コレステロール値も判定することが必要である。

耐糖能異常


2007 年に日本動脈硬化学会の「動脈硬化性疾患予防ガイドライン」が改定され、リスク判定に血清総コレステロールではなく、LDL-コレステロールを使うことになった (1)。これ以降、LDL-コレステロール値も判定することが必要になった。

ただし、2010 年 4 月に、特定健診では総コレステロールを測定することを強く希望するという学会声明が出され、7月には LDL-コレステロールの直接法の問題点が指摘された。


アメリカ

NIH のサイトでメタボリックシンドロームに関する情報をみることができる (2)。


Metabolic syndrome is the name for a group of risk factors that raises your risk for heart disease and other health problems, such as diabetes and stroke.


以下のうち 3 つ以上に該当すると、メタボリックシンドロームと診断される。5 つのリスクファクターが挙げられているが、内容は基本的に日本と同じである。


1. Waist circumference (肥満)

人種によって基準が異なる (6)。Europid では男性 94 cm 以上、女性 80 cm 以上。American では男性 102 cm 以上、女性 88 cm 以上。


2. Raised blood pressure (高血圧)

収縮期血圧 systolic blood pressure が 130 以上 and/or 拡張期血圧 diastolic blood pressure が 85 以上。


3. Raised fasting plasma glucose (高血糖)

絶食時血糖値が 100 mg/dL (5.6 mM) 以上。


4. Raised TG (脂質異常)

絶食時血中 TAG 濃度が 150 mg/dL (1.7 mM) 以上。


5. Reduced HDL-C (低 HDL コレステロール)

血中コレステロールが、男性で 40 mg/dL (1.0 mM) 以下、女性で 50 mg/dL (1.3 mM) 以下。

メタボリックシンドロームの現状

アメリカでは 35% がメタボリックシンドロームにかかっているという統計がある (3)。その他の国では 20% 台と比較的低い (4,5)。


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References

  1. 岡崎 2010a (Review). LDL コレステロールとは? その測定法の問題点を解決策は? オレオサイエンス 10, 471-475.
  2. What is metabolic syndrome?  NIH Website. Link.
  3. Aguilar et al. 2015a. Prevalence of the metabolic syndrome in the United States, 2003–2012. JAMA 313, 1973-1974.
  4. de Carvalho et al. 2013a. Prevalence of the metabolic syndrome in Brazilian adults: a systematic review. BMC Public Health 13, 1198.
  5. Li et al. 2016a. Prevalence of the metabolic syndrome in Mainland China: a meta-analysis of published studies. BMC Public Health 16, 296.
  6. Ferri & Ruscica 2016a. Proprotein convertase subtilisin/kexin type 9 (PCSK9) and metabolic syndrome: 858 insights on insulin resistance, inflammation, and atherogenic dyslipidemia. Endocrine 54, 588-601.
  7. Xu et al. 2019a. Etiology of metabolic syndrome and dietary intervention. Int J Mol Sci 20, 128.

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