遺伝学「優性」の詳細:
不完全優性、共優性、遅発優性など
- 完全優性、不完全優性
- 共優性
- 致死遺伝子
- その他重要な用語
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完全優性と不完全優性
メンデル遺伝 のページでは何となく使っていた優性 dominance という言葉について、このページでは詳細に説明する。
完全優性
まずは定義から。下の表に、優性とは「ヘテロ接合性の状態でもアリルが表現形に現れること」である (2)。つまり、AA というホモの遺伝子型と、Aa というヘテロの遺伝子型において表現形が同じである場合、A が優性であると言える。
下記の不完全優性に対する概念として、これは完全優性 complete dominance とも呼ばれる。
不完全優性
図のように、RR が赤、rr が白になる状態で、ヘテロの Rr がピンクになったら不完全優性である。部分優性 partial dominance または半優性 semidominance と呼ぶこともある。
共優性
不完全優性との違いがややこしい。上記の花の例の場合、赤の発現が不完全であると解釈すれば不完全優性だが、r の白の表現型をもっていて、両方が発現していると考えれば共優性になってしまう。
Pierce の Genetics (Amazon) では、
- r の allele が色素を作らない場合は不完全優性
- r の allele が白い色素を作る場合は共優性
と説明している (1)。しかし、表現型について色素の「合成」のみを問題とするのは一面的な見方であると思う。r の allele が赤い色素を「分解」しているときはどうなるのか? 「共優性」は、概念としてやや不完全であるように思われる。
これとは別に、はっきり「共優性」と捉えて良いのが2 つの allele が性質の違う 2 種類の タンパク質 を作り、それらが別々に検出される場合である。
- ヒトの MN 血液型
- ヒトの ABO 血液型は、共優性と multiple allele が両方関係する例である。
致死遺伝子
とりあえず良い図があったので貼っておく (4)。マウスの agouti という遺伝子は、体色については優性、生存については劣性の致死遺伝子 lethal allele or lethal gene である。
その他重要な用語
浸透率 |
ある遺伝型から予測される表現型を示す個体の割合 (1)。表現型は必ずしも遺伝型の通りになるとは限らない。 |
表現度 |
ある遺伝子型が示しうる表現型の範囲 (2)。ちょっと重要性がよくわからない。 |
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References
- Amazon link: Pierce 2016. Genetics: A Conceptual Approach: 使っているのは 5 版ですが、6 版を紹介しています。
- Amazon link: これだけは知っておきたい 図解 ジェネティクス: 参考書のページ にレビューがあります。
- By RudLus02 - 投稿者自身による作品, CC 表示-継承 4.0, Link
- By <a href="//commons.wikimedia.org/wiki/User:Jcfidy" title="User:Jcfidy">Jcfidy</a> - <span class="int-own-work" lang="en">Own work</span>, CC BY-SA 4.0, Link
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