性決定機構と伴性遺伝:
ショウジョウバエ、魚類、哺乳類など
- 染色体による性決定
- XX-XY 型
- XX-XO 型
- ZZ-ZW 型
- Haploidiploidy 型
- 染色体によらない性決定
- 遺伝子による性決定
- 環境による性決定
以下の項目も追加予定。
- X 染色体の不活性化
- 伴性遺伝
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染色体による性決定
このページでは、複数の動物を例に性決定機構について説明する。以下の知識が前提となるので、理解が曖昧な場合はまずリンク先のページを参照のこと。
- X 染色体、Y 染色体とは? → 染色体とは
- メンデルの遺伝の法則とは? → メンデル遺伝
- 病気との関係 → 染色体異常による病気
XX-XY 型
ヒトおよびショウジョウバエが、XX-XY 型の代表的な例としてよく使われる。
この性決定様式では、XX がメスに、XY がオスになる。
ただし、染色体が性を決定するメカニズムはヒトとショウジョウバエで異なっている。すなわち、ヒトでは Y 染色体上の SRY 遺伝子が性決定するのに対し、ショウジョウバエでは性染色体と常染色体の本数の比によって性が決定される。XXY の個体は、ヒトでは男になるが、ショウジョウバエではメスになる。
XX-XO 型
O は染色体が存在しないことを意味する。つまり、Y 染色体のかわりに空集合のような O が運ばれるわけである。
XX はメスに、XO はオスになる。バッタ grasshopper の例が有名である (1)。
ZZ-ZW 型
昆虫、鳥、爬虫類などでは、性染色体の名前が違う (1)。染色体は W と Z と呼ばれ、オスが WW、メスが WZ である。
この命名はちょっとわかりにくいが、オスとメスの定義が先にあり、ホモでメスになる場合は XY、ホモでオスになる場合は ZW というように染色体を名付けている (1)。
Haploidiploidity 型
ハチやアリなどでみられる性決定様式。日本語では「半倍数性」という。
半数体 haploid の個体がオスになり、倍数体 diploid の個体がメスになる (1)。この図 (Ref. 4) は染色体の書き方がわかりにくくていまいちだが、とりあえず載せておく。ポイントは以下の通り。
- 減数分裂で n の卵、精子ができるのは他の場合と同じ。
受精しなかった場合、n のまま成体になり、これがオス。 - 受精して 2n になると、メスが発生する。
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染色体によらない性決定
遺伝子による性決定と、環境による性決定に分類されている (1)。
遺伝子による性決定
遺伝子による性決定は、植物、菌類、魚類などでみられる (1)。染色体ではなく、性決定遺伝子が存在し、その配列によって性が決定されるというものである。
環境による性決定
環境による性決定では、なぜかカサガイ limpet の例が教科書に載っている (1)。文献をちょっと探してみると、1000 匹の性を調べたら、ほとんどがオスだったという 100 年ほど前の論文がみつかる (5)。おそらく limpet の性決定に関する研究が盛んだった時代があるのだろう。
Limpet は平たい貝で、最初に岩に付着した個体がメスになり、オスの誘引物質を放出する (1)。次の個体が上に重なると、もともとオスだった個体が性転換してメスになり、新たに付着した個体がオスになる。これを繰り返すことによって、表面に来る個体が常にオスになるようだ。
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References
- Amazon link: Pierce 2016. Genetics: A Conceptual Approach: 使っているのは 5 版ですが、6 版を紹介しています。
- By GYassineMrabetTalk✉This W3C-unspecified vector image was created with Inkscape. The source code of this SVG is valid. - Own work, CC BY-SA 4.0, Link
- NIH Klinefelter syndrome. Link: Last access 2018/10/20.
- By Ian Alexander - Own work, CC BY-SA 4.0, Link
Orton, 1919a. Sex-phenomena in the common limpet: (Patella vulgata). Nature 104, 373-374.
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