遺伝学「優性」の詳細:
不完全優性、共優性、遅発優性など

UBC/genetics/heredity_dominance

このページの最終更新日: 2020/10/14

  1. 完全優性、不完全優性
  2. 共優性
  3. 致死遺伝子
  4. その他重要な用語

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完全優性と不完全優性

メンデル遺伝 のページでは何となく使っていた優性 dominance という言葉について、このページでは詳細に説明する。


完全優性

まずは定義から。下の表に、優性とは「ヘテロ接合性の状態でもアリルが表現形に現れること」である (2)。つまり、AA というホモの遺伝子型と、Aa というヘテロの遺伝子型において表現形が同じである場合、A が優性であると言える。

下記の不完全優性に対する概念として、これは完全優性 complete dominance とも呼ばれる。


不完全優性

不完全優性 incomplete dominance とは、ヘテロ接合性の状態が 中間的な表現形 を示す場合をいう (2)。

図のように、RR が赤、rr が白になる状態で、ヘテロの Rr がピンクになったら不完全優性である。部分優性 partial dominance または半優性 semidominance と呼ぶこともある。


共優性

共優性 codominance は、ヘテロ接合の状態で 両方の アリルが発現することをいう (2)。

不完全優性との違いがややこしい。上記の花の例の場合、赤の発現が不完全であると解釈すれば不完全優性だが、r の白の表現型をもっていて、両方が発現していると考えれば共優性になってしまう。

Pierce の Genetics (Amazon) では、

  • r の allele が色素を作らない場合は不完全優性
  • r の allele が白い色素を作る場合は共優性

と説明している (1)。しかし、表現型について色素の「合成」のみを問題とするのは一面的な見方であると思う。r の allele が赤い色素を「分解」しているときはどうなるのか? 「共優性」は、概念としてやや不完全であるように思われる。

これとは別に、はっきり「共優性」と捉えて良いのが2 つの allele が性質の違う 2 種類の タンパク質 を作り、それらが別々に検出される場合である。

  • ヒトの MN 血液型
  • ヒトの ABO 血液型は、共優性と multiple allele が両方関係する例である。

致死遺伝子

とりあえず良い図があったので貼っておく (4)。マウスの agouti という遺伝子は、体色については優性、生存については劣性の致死遺伝子 lethal allele or lethal gene である。


その他重要な用語

浸透率
Penetrance

ある遺伝型から予測される表現型を示す個体の割合 (1)。表現型は必ずしも遺伝型の通りになるとは限らない。

表現度
Expressivity

ある遺伝子型が示しうる表現型の範囲 (2)。ちょっと重要性がよくわからない。


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References

  1. Amazon link: Pierce 2016. Genetics: A Conceptual Approach: 使っているのは 5 版ですが、6 版を紹介しています。
  2. Amazon link: これだけは知っておきたい 図解 ジェネティクス: 参考書のページ にレビューがあります。
  3. By RudLus02 - 投稿者自身による作品, CC 表示-継承 4.0, Link
  4. By <a href="//commons.wikimedia.org/wiki/User:Jcfidy" title="User:Jcfidy">Jcfidy</a> - <span class="int-own-work" lang="en">Own work</span>, CC BY-SA 4.0, Link

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