コドンを解読した実験

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このページの最終更新日: 2024/02/14

  1. 概要: コドンを解読した実験
  2. ホモポリマーの実験
  3. ランダムコポリマーの実験
  4. リボソーム結合 tRNA の実験

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概要: コドンを解読した実験

かつて、遺伝物質は DNA であるかタンパク質であるかという論争があった。メセルソンの実験や、1953 年に DNA 構造が発表された二重らせん構造が半保存的複製を良く説明することなどから、DNA が遺伝物質であることが広く認められるようになった。しかし、DNA の情報がどのようにタンパク質に伝えられるかが明らかになるまでには、さらに 10 年の歳月が必要であった (3)。

ホモポリマーの実験

Nirenberg と Matthaei らによって 1961 年に発表された実験で、UUU が フェニルアラニン を、CCC が プロリン をコードすることを明らかにした。実験は以下のような手順で行われた (3)。

  1. 鋳型を必要とせずに RNA 鎖を合成する polynucleotide phosphorylase を使い、 UUUUUU... というホモポリマー鎖を合成。
  2. このホモポリマーを 20 本の試験管に分ける。それぞれの試験管には、タンパク質を構成する 20 種類のアミノ酸が入っているが、うち 1 個だけが放射性同位体でラベルされている。
  3. タンパク質を合成した後、遊離アミノ酸を取り除く。
  4. UUU にコードされるアミノ酸だけがタンパク質に取り込まれる。つまり、20 本の試験管のうち 1 本だけが放射性となる。
  5. UUU の場合、Phe の試験管のみが放射性を示した。

Nirenberg らは、この実験を含む一連の遺伝暗号解読について 1968 年の ノーベル医学生理学賞 を受賞している。写真は NIH のツイートにあった Nirenberg の車のナンバープレート。

Nirenberg の車のナンバープレート

ランダム・コポリマーの実験

続いて Nirenberg らは ランダム・コポリマーの実験 でその他のコドンの解読を試みた (3)。この実験には手法的な問題点があり、実際にコドンの解読に大きく貢献したのは次のリボソーム結合 tRNA 実験である。

ここでは、歴史的観点からランダム・コポリマーの実験についても概要を示しておく。この実験からはコドンの配列はわからず、含まれる塩基の割合のみが導かれる。

  1. A と C を例に説明する。A と C を混合して 3 塩基のランダム・コポリマーを合成すると、以下の 8 種類が合成され得る: AAA, AAC, ACC, ACA, CAA, CAC, CCA, CCC.
  2. 混合する A と C の割合を変えることで、合成されるコポリマーの割合をコントロールできる。たとえば A : C = 1 : 4 で混合すると、13%のポリマーが C x 2, A x 1 の割合となる。つまり ACC, CAC, CCA のいずれかである。
  3. これを用いてホモポリマーと同様に放射性ラベルの取り込み実験を行う。得られる結果から、ACC, CAC, CCA のいずれかにコードされるアミノ酸を決定できる。

この実験の問題点は、2 番の取り込みがランダムとは限らないこと、またコドンが縮重しているために結果の解釈が非常に難しいことである。


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リボソーム結合 tRNA の実験

この実験は、3 塩基の short mRNA でも tRNA とリボソームに結合することを利用している (3)。

  1. GUU などの 3 塩基の RNA を合成し、全ての tRNA (アミノ酸と結合しているもの) およびリボソームと混合する。
  2. 溶液をろ過すると、その RNA に結合した tRNA のみが残る。
  3. この tRNA が、どのアミノ酸と結合するかをチェックする。

この実験も、やはり Nirenberg らによって行われている (3)。50 種類以上のコドンが本実験によって決定された。


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References

  1. ページ分割に伴い削除
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  3. Amazon link: Pierce 2016. Genetics: A Conceptual Approach: 使っているのは 5 版ですが、6 版を紹介しています。

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