RNA: 定義、構造など

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このページの最終更新日: 2024/07/13

  1. RNA とは
  2. RNA の構造
  3. なぜ T でなく U なのか?
  4. なぜ RNA は DNA より不安定なのか?

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RNA とは

RNA には以下のような種類がある。

Ribosomal RNA (rRNA)

バクテリア、真核生物の細胞質に存在 (7)。細胞内の RNA の大部分を占める。リボソームの構成成分である。

Messenger RNA (mRNA)

DNA の情報をタンパク質へ伝える。

Transfer RNA (tRNA)

タンパク質の翻訳に重要。

Small nuclear RNA (snRNA)

真核生物の核に存在し、pre-mRNA のプロセシングに関わる。

Small nucleolar RNA (snoRNA)

真核生物の核に存在し、rRNA のプロセシングおよびアセンブリーに関わる。

MicroRNA (miRNA)

真核生物の核および細胞質で、標的とする mRNA の翻訳を阻害する (7)。

Small interfering RNA (siRNA)

標的 RNA の分解を引き起こす。

Piwi-interacting RNA (piRNA)

生殖細胞において、transposable element の転写を抑制する (7)。


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RNA の構造

RNA の構造は DNA とよく似ており、下の図 (7) の X の位置に OH が入っているだけである。

リボースとデオキシリボースの構造 RNAの構造

RNA は化学修飾を受ける。もっとも有名なのは、以下 (Public domain) の N6-methyladenosine (m6A) である。

N6-Methyladenosine

なぜ RNA は T でなく U なのか?

これは、逆に「なぜ DNA では U を用いないのか?」と考えた方が良いようである (6)。

シトシン C、チミン T およびウラシル U の構造は以下の通り (いずれも Public domain)。

チミンの構造

チミン

ウラシルの構造

ウラシル

シトシンの構造シトシン


シトシンのアミノ基が O に変わるとウラシルになる ことがわかるだろう。これはアミノ基転移といって、比較的起こりやすい反応である。

生命が最初に使っていた遺伝物質は、DNA でなく RNA であったと考えられている (RNA ワールド仮説; see 生命の起源)。ところが、RNA ではアミノ基転移によって C が U になってしまい、遺伝情報の保存に都合が悪かった。そのため、情報を長期保存する DNA では、U でなく T が使われるようになったと思われる。

ただし、T には TT が変異を生じやすいという問題がある (いずれ更新)。RNA editing によって TT を避ける機構が、日差しの強い地域の植物に備わっているという報告もある。


なぜ RNA は DNA より不安定なのか?

下の図に見る H と OH の違いが、DNA と RNA の安定性に大きな差をもたらす (6)。

すなわち、2' 位のヒドロキシ基 OH は 反応性の高い孤立電子対 を 2 つ持っており、これが 3' 位にあるホスホジエステル結合を求核攻撃 するのである。これが、RNA は DNA よりも分解しやすい理由の一つである。

RNA を保存する試薬として RNAlater とその代用品 がある。

リボースとデオキシリボースの構造
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References

  1. Amazon link: 岩波 理化学辞典 第5版: 使っているのは 4 版ですが 5 版を紹介しています。
  2. ページ編集のため削除
  3. ページ編集のため削除
  4. ページ編集のため削除
  5. Amazon link: Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Fourth Edition.
  6. Got it! Lab. RNA:DNAとは何が違うのか? Link: Last access 2019/05/13.
  7. Amazon link: Pierce 2016. Genetics: A Conceptual Approach: 5, 6 版を使っています。

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