チアミン二リン酸 ThDP: 脱炭酸反応を触媒するビタミン B 誘導体

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このページの最終更新日: 2024/12/15

  1. 概要: チアミン二リン酸とは
  2. ThDP とピルビン酸の脱炭酸反応

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概要: コエンザイム Q とは

チアミン二リン酸 (thiamine diphosphate, ThDP) は活性型のビタミン B1 で、図のようにビタミン B1 (チアミン thiamine とも呼ばれる) にリン酸基が 2 個結合した構造を持つ (2)。

チアミンピロリン酸 TPP とも呼ばれる (1)。補酵素 coenzyme として働き、脱炭酸反応を触媒することが多い。


ThDP とピルビン酸の脱炭酸反応

ThDP は、ピルビン酸 pyruvate の脱炭酸反応において補酵素として働く (2)。Berg の Biochemistry (Amazon) では、activated aldehyde unit の転移が ThDP を補酵素とする反応の共通項であると書かれており、PDH, α-ketoglutarate dehydrogenase, ペントースリン酸回路の transketolase が例として挙げられている。


酵素 説明 文献
ピルビン酸デカルボキシラーゼ (PDC)

ピルビン酸からアセトアルデヒドを作る。アルコール発酵では、アセトアルデヒドがさらにアルコールデヒドロゲナーゼ ADH によってエタノール ethanol になる。

1
ピルビン酸デヒドロゲナーゼ (PDH)

ピルビン酸を Acetyl-CoA にして TCA 回路 へ入れる酵素。名前はデヒドロゲナーゼだが、この反応の第一段階は脱炭酸である。

この反応は解糖 glycolysis と TCA 回路を繋ぐ重要な反応である。ビタミン B1 の欠乏で起こる脚気の患者に、ピルビン酸が蓄積するのは ThDP の欠乏による。

1
α-ketoglutarate dehydrogenase

TCA 回路の律速反応である α-ketoglutarate → succinyl-CoA への反応を触媒する酵素。PDH によるピルビン酸の酸化と似たメカニズムで進行し、実際にこの酵素は PDH と相同である。

5
アセト乳酸シンターゼ (ALS)

バクテリアおよび植物に存在する分岐鎖アミノ酸 branched-chain amino acid の合成経路は、第一段階が ALS に触媒されるピルビン酸 2 分子の重合であり、脱炭酸反応を伴う。


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References

  1. 岩波 理化学辞典 第 4 版.

このサイトでは、私が持っている 1987 年の第 4 版を引用していることが多い。1998 年に第 5 版が発行されている。

ネット情報の問題点の一つは、信頼できる定義になかなか出会えないことである。Wikipedia には定義らしいことが書いてあり、普段の調べ物には十分なことも多いが、正式な資料を作るときにはその引用は避けたいものである。

そんなときに役に立つのが理化学辞典や生化学辞典。中古でも古い版でもよいので、とにかく 1 冊持っておくと仕事がはかどる。


  1. By Edgar181 - 投稿者自身による作品, パブリック・ドメイン, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=2046957
  2. 補酵素. 福岡大学サーバーにあるサイト. Link.
  3. Link.
  4. Berg et al. Biochemistry: 使っているのは 6 版ですが 7 版を紹介しています。