セロトニンの構造と機能:
腸の蠕動、血液凝固、神経伝達などを制御するアミン
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概要: セロトニンとは
セロトニン serotonin (5-hydroxytryptamine, 5-HT) は、複数の生理活性をもつアミン amine である。図のような構造をもち (2)、トリプトファン Trp から生合成される。
人体では、以下のような分布と生理機能が有名である。
- 消化管粘膜に人体の総セロトニンの約 90% が存在し、
腸の蠕動運動を亢進する 。 - 血小板に約 8% が存在し、
血液凝固、血管収縮 などを促進する。セロトニンという名前は、血清 serum と tone に由来し、血管収縮性の物質として発見されたという事実に基づいている。 - 脳 (human, rat) に約 2% が存在し、神経伝達物質として働く。
神経伝達物質としてのセロトニン
セロトニンを神経伝達物質とするセロトニン作動性ニューロンは、脳幹 brain stem に集中しており、そこから脳、脊髄に広く投射される (図; ref 3)。同じく脳幹部にあるドーパミン dopamine に比べ、大脳皮質全体に広い投射をもっていることがわかる。なお、このドーパミンの限定的な投射の意義は 進化的見地からみた脳 のページで解釈を試みている。
セロトニンの作用は受容体によって異なり (1)、多くの作用はまだ未解明である。5-HT1A 受容体は抑制性で
セロトニンの生合成
セロトニンは トリプトファン から生合成されるが、その量はわずかであり、摂取するトリプトファンの約 3% と見積もられている (4)。
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References
河合良訓 監修, 原島広至 文・イラスト (2005). 脳単: 語源から覚える解剖学英単語集.
語源から覚える解剖学英単語集の第 3 段。 監修のことばにも書かれているが、脳は他の組織よりも構造が複雑である。それは、脳の領域が全体的に繋がっていて、区分がはっきりしていないためである。これに伴って用語にも混乱が生じており、たとえば脳幹 brain stem という単語が示す領域は文献によって異なっている (これもこの本に書かれていた)。したがって、良いアトラスを持っていることは脳について学習・研究するために非常に重要である。 この本は、ヒトの脳の様々な部位の名称が日本語と英語で対応づけて書かれていて、イラストも美しくわかりやすい。厚くはないが、 原著論文に出ている用語はほぼ網羅しているので、ぜひ手元に一冊置いておきたい本だ。 |
- "Serotonin-2D-skeletal" by CYL - 投稿者自身による作品. Licensed under CC 表示-継承 3.0 via ウィキメディア・コモンズ.
- Public Domain, Link
- 清水 (訳) 2015a. イラストレイテッド ハーパー・生化学 30版. (Amazon link)
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