リアルタイム PCR 結果を論文にするときの注意点

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このページの最終更新日: 2024/12/15

  1. 概要
  2. 図の書き方: Y 軸に何をプロットすべきか
  3. 言葉の問題: mRNA level か mRNA expression か

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概要

リアルタイム PCR の結果を論文にする際に記載することをまとめた ガイドライン論文 も参照のこと。

図の書き方: Y 軸に何をプロットすべきか

Comparative Ct 法では、RNA 量の相対値のみが得られる。内部標準遺伝子 に対する相対値で表示する方法 (つまり、2-dCt をプロットする) と、特定のサンプルに対する相対値で表示する場合があり、後者の方が一般的なようである。

2-dCt をプロットする

文献 1 に例があるので、図を引用する。縦軸の値が β- actin に対する相対量で示されており、ゆえに小さな値になる。

ここで MIN6 を 1 として軸を書き換えると、次の項目にある「サンプル間の相対値で示す」方法になる。2-dCt をプロットする方が情報量が多くて良いと思うのだが、多くの論文はこの方法を使っていない。

リアルタイムPCR結果

Legend 抜粋 (1)

Comparison of the Expression of T1Rs and Gustducin in Islets and MIN6 cells. mRNA levels for T1R2, T1R3 and Gagust were measured by quantitative PCR in islets and MIN6 cells and expressed as relative to beta actin.


サンプル間の相対値で示す

例になる図がみつかったら追加する。

mRNA level か gene expression か

リアルタイム PCR で測定できるのは、サンプル内に含まれる cDNA の量である。論文では、このデータが mRNA 量を表していると考え、mRNA expression または gene expression という言葉を使って議論されることが多い。しかし、この議論をする際には以下のような点を考慮する必要がある。

  • 逆転写の効率が一定とは限らない。mRNA が高次構造をとっていたら、その遺伝子だけ逆転写の効率が低いかもしれない。
  • 同様に、逆転写に oligo dT primer を使っている場合、プライマーが 3' 末端から遠いと、逆転写の効率が低いかもしれない。

以上のような問題は、random primer と oligo dT primer の混合物を使って逆転写することで、かなりの部分解決することができる。

mRNA level か expression か

Results の書き方のページに移動しました。下記のサイト内検索からどうぞ。

Western blot の W か大文字か小文字か というページにも、似たような言葉の使い方に関する考察があります。



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References

  1. Nakagawa et al. 2009a. Sweet taste receptor expressed in pancreatic b-cells activates the calcium and cyclic AMP signaling systems and stimulates insulin secretion. PLoS ONE 4, e5106.
  2. Bartelt et al. 2011a. Brown adipose tissue activity controls triglyceride clearance. Nat Med 2, 200-206.
  3. Livak and Schmittgen 2001a. Analysis of relative gene expression data using real-time quantitative PCR and the 2-ddct method. Methods 25, 402-408.
  4. Schmittgen and Livak 2008a. Analyzing real-time PCR data by the comparative CT method. Nat Protoc 3, 1101-1108.
  5. タカラバイオ, リアルタイム PCR 実践編 - プライマー設計ガイドライン.Link: Last access 2018/06/25.
  6. Qiagen: How do I determine the amplification efficiency of my qPCR assay? Link: Last access 2018/07/03.

Nakagawa et al. (2009a) is an open-access article distributed under the terms of the Creative Commons Attribution License, which permits unrestricted use, distribution, and reproduction in any medium, provided the original author and source are credited. Also see 学術雑誌の著作権に対する姿勢.

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