簡単な生化学実験: TLC によるラクトースの分析
UBC/experiments/chromatography/tlc_milk_sugar
このページの最終更新日: 2024/12/15広告
オリジナルの手法
薄層クロマトグラフィー (thin layer chromatography, TLC) ついては、 TLC のページ を参照のこと。このページでは、牛乳 に含まれる ラクトース lactose を検出する簡単な TLC 実験についてまとめる。
> 牛乳をサンプルに、ラクトースなどの同定と定量を TLC で行う実験 (1)。
- 201 ページからの Smith & Dawson の項目である。
- 展開液は ethyl acetate : isopropanol : water : pyridine = 26 : 14 : 7 : 2。
- 検出は aniline : diphenylamine reagent を噴霧して 100°C で加熱している。
- Benedict's solution で lactose の定量もしている。還元糖と反応して Cu2O の沈殿を生じる。
- Cu がタンパク質とも反応することから、このプロトコールでは最初に除タンパクを行なっている。
手抜き手法
ラボにあった試薬で、手抜き実験。検出はできているが、この条件で他の糖と Rf 値がどれぐらい違うかなどは未検討。
- 展開溶媒は、アセトン:イソプロ:水 = 7:2:1。
- 検出は 95% ethanol 100 mL + 10 mL 硫酸。噴霧ではなく dip してホットプレートで検出。dip のあとに乾かしてから熱した方がきれいな結果。エタノールでなく 1-propanol でも問題なし。
- 使用する牛乳は 1 µL で十分。
- コントロールは、Lactose 4 g/100 mL を 1 µL アプライすれば、この条件で十分なスポットが得られる。
- TLC プレートは、ガラスではなくアルミを使用。硫酸系の検出試薬は基本的に使えないことになっているが、溶けたりすることはなく、多くを望まないなら使える。
- 裏面がプラスチックの TLC プレートでも、一応検出は可能。うまく発色させないと溶けて大変なことになる
展開溶媒でアセトニトリルも試してみた。分離は可能だが、アセトニトリルだとラクトースはほとんど動かない。グルコースは多少動くので、一応ラクトースとの判別は可能。ラクトースフリーミルクと通常のミルクの判別も、一応は可能。
ヘキサン : イソプロ : 水 = 2 : 2 : 1。これで、ラクトースがグルコースの 2 倍程度の Rf 値を示した。今後はこれが良さそうだ。
References
- Amazon link:
Wood 2012a (Book). Practical Biochemistry for Colleges.
コメント欄
サーバー移転のため、コメント欄は一時閉鎖中です。サイドバーから「管理人への質問」へどうぞ。