開始コドンにコードされる含硫アミノ酸 メチオニン:
構造、機能、代謝など
- 概要: メチオニンとは
- fMet とは
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概要: メチオニンとは
メチオニン Met は図のような構造をもつ含硫アミノ酸である。
主な特徴は以下の通り。
- pK1 (COOH) = 2.1
- pK2 (NH3+) = 9.3
- 必須アミノ酸
- 開始 コドン AUG にコードされる。
- 脂質をミトコンドリアに輸送する カルニチンの原料になる。
- アデノシンと結合し、生理活性物質 SAM を作る。
メチオニンは、1922 年にコロンビア大学の科学者 J. H. Muller によって発見された。しかし、彼が提唱した化学式には誤りがあり、3 年後に同僚の日本人 Odake がこれを訂正、メチオニンと命名した。1953 年頃から、メチオニンは家畜飼料に転嫁されるようになった。
メチオニンは抗酸化作用をもっており、欠乏は脂質の過酸化を引き起こすことが ラット の実験などから知られている。また、メチオニン不足はうつ病の危険因子である。
Cyanogen bromide (CNBr) は、メチオニン残基の C 末端側でペプチドを切断する試薬である (1)。なお、タンパク質であるトリプシン trypsin はアルギニンとリジンの C 末端側で切断する。
fMet (N-ホルミルメチオニン)
原核生物 prokaryotes や ミトコンドリア では、開始コドンに使われるメチオニンが修飾されている。
この修飾メチオニンは N-ホルミルメチオニン (N-Formylmethionine, fMet) と呼ばれ、図 (Public domain) のようにアミノ基にホルミル基が付加された構造をもつ。
なお、開始コドン以外の場所では、通常のメチオニンが使われる。fMet はミトコンドリアや自己以外の異物に特有であるため、免疫系は fMet を認識することができ、食作用などのトリガーとして用いている。
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