アディポネクチン:
脂肪組織から分泌される代謝制御ホルモン

protein_gene/a/adiponectin
2017/12/09 更新

  1. 概要: アディポネクチンとは
  2. アディポネクチンの分泌細胞
  3. アディポネクチンの機能
  4. アディポネクチンの転写制御

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概要: アディポネクチンとは

アディポネクチン adiponectin は脂肪組織 adipose tissue から血液中に分泌されるホルモンで,メタボリックシンドローム を抑制する分子として注目されている。脂肪組織 adipose tissue 由来のホルモンとして,最初に同定された分子でもある (6I)。

哺乳類 のアディポネクチンには、以下のような特徴がある。まだ整理できておらず、読んだ論文の内容の羅列。

  • 血中量が,肥満度やインスリン抵抗性などと逆相関する (3I,5I)。
  • C2C12 cell で AMPK, PI3K/Akt シグナルを活性化するが,MAPK シグナルは活性化しない (3D)。
  • ATDC5 細胞の骨細胞への分化を促進する作用がある (4R)。
  • 30 kDa, 244 アミノ酸から成るホルモンで,collagen VIII や 補体 C1q に似た構造をもっている (9)。
  • 血液中では 18-mer までの大きな複合体として存在する (9)。高分子なものほど活性が高い。
  • レプチン leptin とは異なり,肥満の人ほど血中量が低い (9)。


アディポネクチンの分泌細胞

アディポネクチンは脂肪組織で産生されるホルモンであるが,その全てが脂肪細胞 adipocyte で作られるわけではなく,脂肪組織内のその他の細胞でも作られる。

一般に、脂肪細胞からのアディポカイン分泌量は,脂肪組織からの分泌量よりも低い (1)。脂肪細胞がアディポカインの主要な起源ではないことを示唆する。Adiponectin およびレプチンは,例外的に主として脂肪細胞自身から分泌される adipokine である。割合を算出すると,leptin の94%,adiponectin の64%が脂肪細胞に由来する。

> ニホンザルでは,adiponectin は白色/褐色脂肪組織のみで検出される (6R)。

  • mRNA レベルの検出、ニホンザル Macaca fuscata を使用。
  • Northern blot: 5.15, 2.5, 1.15 kb の長さの異なる 3 つの mRNA があった。
  • マウスでは,選択的スプライシングで長さの異なる mRNA が生じることがわかっている。
  • ゼブラフィッシュでは筋肉が主な産生組織であることも報告されている (3I)。

皮下脂肪・内臓脂肪の違い

アディポネクチンの発現量は,内臓脂肪 visceral adipose tissue よりも 皮下脂肪 SAT (subcutaneous adipose tissue) で高い (7D)。

肥満度などとの相関を調べた研究でも,VAT よりも SAT の adiponectin が重要であることを示唆する報告が多いようである (7D)。


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アディポネクチンの機能

原則として インスリン の機能を増強する ように作用する。

> グルコースの取り込みを促進し、肝臓での 糖新生 を抑制する。

  • マウスでは、アディポネクチン投与が肝臓の糖新生を抑制する (6I)。
  • 骨格筋や肝臓でグルコース glucose の取り込みを活性化する (3I)。
  • GLUT4 の発現および膜移行を促進する。

> 脂質代謝を活性化するが、抑制するという報告もある (3D)。

  • マウスで,アディポネクチン投与が筋肉の脂肪酸代謝を促進し,食欲の減衰を伴わずに体重を減らす (6I)。

Adiponectin TG mice は糖尿病になりにくく,すごく太ることができる。World's fattest mice である (4I)。


進化的意義

Adiponectin は,インスリン insulin と独立して脂質酸化およびグルコースglucose の細胞への取り込みを促進するためのホルモンで,飢餓によるインスリン抵抗性に対する適応として進化したという仮説が提唱されている (2)。

つまり、Adiponectin は 2 型糖尿病の症状を改善するホルモンとして有名だが,これは進化圧にはならない (2)。拒食症 anorexia の患者も,糖尿病患者と同様にインスリン抵抗性を示す。貧栄養状態で血糖値を維持するための適応ではないか。


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References

  1. Fain et al. 2004a. Comparison of the release of adipokines by adipose tissue, adipose tissue matrix, and adipocytes from visceral and subcutaneous abdominal adipose tissues of obese humans. Endocrinology 145, 2273-2282.
  2. Behre 2007a. Adiponectin: Saving the starved and the overfed. Med Hypotheses 69, 1290-1292.
  3. Sanchez-Gurmaches et al. 2012a. Adiponectin effects and gene expression in rainbow trout: an in vivo and in vitro approach. J Exp Biol 215, 1373-1383.
  4. Challa et al. 2010a. Effects of adiponectin on ATDC5 proliferation, differentiation and signaling pathways. Mol Cell Endocrinol 323, 282-291.
  5. Kim et al. 2010a. cAMP-response element binding protein (CREB) positively regulates mouse adiponectin gene expression in 3T3-L1 adipocytes. BBRC 391, 634-639.
  6. Kang et al. 2009a. Molecular cloning, gene expression, and tissue distribution of adiponectin and its receptors in the Japanese monkey, Macaca fuscata. J Med Primatol 38, 77-85.
  7. Frederiksen et al. 2009a. Subcutaneous rather than visceral adipose tissue is associated with adiponectin levels and insulin resistance in young men. J Clin Endocrinol Metab, 94, 4010-4015.
  8. ページ編集に伴い削除
  9. Adamczak & Wiecek. 2013a (Review). The adipose tissue as an endocrine organ. Semin Nephrol 33, 2-13.
  10. Zhu et al. 2004a. Circulating adiponectin levels increase in rats on caloric restriction: the potential for insulin sensitization. Exp Gerontol 39, 1049-1059. 

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