FAD: NAD よりも酸化還元電位の高い電子運搬体

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2018/01/24 更新


  1. 概要: FAD とは
  2. NAD と FAD の違い
    • 水素の引き抜き方の違い
    • 酸化還元電位の違い
  3. FAD を用いる酵素
    • TCA 回路のコハク酸デヒドロゲナーゼ
    • β 酸化のアシル CoA デヒドロゲナーゼ

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概要: FAD とは

フラビンアデニンジヌクレオチド (flavin adenine dinucleotide, FAD) は、酸化還元反応における補酵素 coenzyme の一種である (1)。図のような構造を持つ (2)。


一般に酵素と強く結合しており、解離しにくい (1)。

NAD と同じく 電子の運搬体 として働く。反応に関わるのは、左上の環が 3 つ並んだ部分である (5)。ビタミンである riboflavin の誘導体である。


NAD と FAD の違い

構造が異なるのはもちろんだが、次のような重要な違いがあり、それに応じた使い分けがなされている。


水素の引き抜き方の違い

NAD は 2 つの H を同時に引き抜き、自分が NADH になりつつ水素イオン H+ を放出する (3)。

FAD は 2 つの H を 1 個ずつ引き抜き FADH2 となる (3)。

  • NAD による脱水素は、基質の末端からと補酵素 or リン酸など反応に関与する他の分子の末端から、というように別の場所からそれぞれ一つずつの水素を引き抜く形になる場合が多い (4)。
  • FAD の脱水素は、基質の同じ辺りの単純な部位から 2 つの H を引き抜くような場合が主である (4)。

酸化還元電位の違い

NAD 系の酸化還元電位は -320 mV と低く、異化代謝系で 比較的大きなエネルギーが解放される場合 に、酵素に利用されて反応に共役し脱水素する (4)。

FAD 系の酸化還元電位は -219 mV で NAD 系より少し高く、開放エネルギーが少なく NAD が使えないような反応で脱水素する (4)。


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FAD を用いる酵素


TCA 回路

TCA 回路 の第 3 の酸化反応で FAD が使われる。この反応を触媒する酵素は、コハク酸デヒドロゲナーゼである。


コハク酸 + FAD → フマル酸 + FADH2

FAD が使われるのは、この反応の自由エネルギーが、NAD+ を還元するのに不十分なため。ここから続く一連の酸化、水和、酸化という反応は、メチル基 CH3 をカルボキシル基 C=O に変換するときによく使われる反応で、以下のβ 酸化の際にも似たような反応が起こる。


脂肪酸の β 酸化

脂肪酸β 酸化 は、ミトコンドリア および ペルオキシソーム という異なるオルガネラで起こるが、いずれの場合も第一ステップが脂肪酸からの脱水素である。つまり水素と電子の受け取り手が必要になり、ミトコンドリアでは FAD が、ペルオキシソームでは酸素分子が使われる。

酸素分子の酸化還元電位は約 +810 mM であり、FAD よりもずっと電子を受け取りやすい。かなり乱暴な酸化反応である。

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References

  1. 岩波 理化学辞典 第 4 版.

  1. By Edgar181 - 投稿者自身による作品, パブリック・ドメイン, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=2046957
  2. 補酵素. 福岡大学サーバーにあるサイト. Link.
  3. Link.
  4. Berg et al. Biochemistry: 使っているのは 6 版ですが 7 版を紹介しています。