NADH とは: 代謝の中核をなす電子運搬体

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9-30-2017 updated


  1. 概要: NADH とは
  2. NAD+ から NADH を作る反応
    • 解糖系
    • TCA 回路
  3. NAD を補酵素として用いる酵素

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概要: NADH とは

ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド (nicotinamide adenine dinucleotide; NAD, NAD+, NADH) は,以下のような構造をもつ電子運搬体である。

下の図で,アデニン部分にリン酸基がついているのが NADPH, ついていないのが NADH である。両者の構造は非常によく似ており,機能も極めて近い。NADPH については NADPH のページ で NADH との機能の違いを中心に解説する。

NADPH の構造 (1)

NADH の構造 (1)


NADH は,下の図 (3) のように,窒素環の部分で 1 個の水素原子と 2 個の e- を受け取る ことができる。したがって,水素原子をある分子から引き抜くような反応で水素原子および電子の受け手として使われる。


生物学の格言集 にある通り 「水素原子を受け取ったら還元」なので,これは「ある分子の酸化反応」であり,この反応を通じて NAD+ は NADH に還元されることになる。NAD+ は酸化型,NADH は還元型と呼ばれる。NAD+ の + は窒素原子が正電荷をもっていることを意味している。NAD と表記されこともあるが,両者は同じものである。

NADH のもつ生理的意義を大雑把に書くと,次のようになる。

  • 動物は,炭素原子 C を含む食事を酸化してエネルギーを得る。
  • 言い換えれば「C によって O2 が還元される」→「食べ物のもつ e- が O2 に渡される」ということ。
  • しかし,C の電子を O2 に直接渡すと,これは「燃焼」である。反応が激しすぎる。
  • したがって,動物は多くの段階を経てゆっくりと e- を O2 に渡している。
  • この e- の運搬を仲介するものの一つが NAD+ である。

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NAD+ から NADH を作る反応

解糖系による NADH 合成

解糖系 glycolysis では,1 分子の グルコース から 2 分子の NADH が生じる。全体像を示す図は 細胞の分子生物学 (Amazon) から引用した。


> ピルビン酸を乳酸にする反応は,1 分子あたり 1 分子の NADH を消費する。
  • グルコースからは 2 分子のピルビン酸が生じるので,これはグルコース 1 分子あたり 2 分子に相当。
  • つまり,グルコースが全て乳酸になるような理想的な嫌気条件下では,NADH は生じないことになる。

解糖系で NADH が生じる反応は,「6. GAPのリン酸化」である。

解糖の過程でグルコースはアルドラーゼの作用でグリセルアルデヒド-3-リン酸 (GAP) およびジヒドロキシアセトンリン酸 (DHAP) 2 つに開裂し,DHAP は GAP に異性化される。つまり,1 分子のグルコースから 2 分子の GAP が生じる。NADH は,GAP によって NAD+ が還元されることで生じるため,1 分子のグルコースから 2 分子作られることになる。


TCA 回路による NADH 合成

TCA 回路では,1 分子の アセチル CoA によって 3 分子の NAD+ が NADH に還元される。詳細は TCA 回路のページを参照のこと。

NADH は ミトコンドリア の呼吸鎖 respiratory chain に輸送され,水素原子は最終的に NADH から酸素に受け渡されて ATPと を生じる。NAD+ は TCA 回路で再利用される。


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NAD を補酵素として用いる酵素

ADH

アルコールデヒドロゲナーゼ。

LDH

乳酸デヒドロゲナーゼ。

GAPDH

解糖系の 6 番目の反応で,解糖系では NAD から NADH を生じる唯一の反応である。またこの反応では高エネルギー分子である 1,3-BPG が生じ,次の反応で ATP を生み出す。


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References

  1. By NEUROtiker - 投稿者自身による作品, パブリック・ドメイン, Link
  2. "NAD+ phys" by NEUROtiker - 投稿者自身による作品. Licensed under パブリック・ドメイン via ウィキメディア・コモンズ.
  3. "NAD- to NADH". Licensed under GFDL via Wikipedia.

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