ペントースリン酸経路: NADPH とリボースを作る経路

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2018/04/30 更新

  1. 概要: ペントースリン酸回路とは
  2. G6PD について

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概要: ペントースリン酸経路とは

ペントースリン酸経路とは、解糖系 の中間体 G6P から分岐し、同じく解糖系の中間体 GAP に至る経路である。ペントースリン酸経路の生化学的に重要な点は以下の通り (1,3)。

  • グルコースの代謝経路であるが、ATP は作らない。
  • 解糖系と同様、細胞質に存在する経路である。
  • 補酵素 の一つである NADPH を産生する。
  • 核酸 の原料となるリボース ribose を含む C5糖 (ペントース) を産生する。

代謝マップは以下である (2)。



反応 3 までで、目的として挙げた NADPH およびペントースの産生は完了する。ここまでで G6P 1 分子あたり 2 分子の NADPH と 1 分子のペントース が得られている。しかし、通常の細胞はこの比よりももっと多くの NADPH を必要とする (2)。逆に言えば C5 はこんなにいらない。

そこで、残りの反応で C5 を C3 および C6 に戻す という作業が行われる (1)。この過程は、C6 から C5 を作り出す Calvin cycle (光合成) の完全な逆反応である。


# 反応 酵素
1

酸化

グルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ
Glucose-6-phosphate dehydrogenase, G6PD。ページ下方に詳細あり。

G6PD には Mediterranean および Afro-Caribbean 由来の保存された変異がある。G6PD 欠乏は、酸化ストレス下での溶血をもたらす (3)。つまり、ペントースリン酸回路の第一の意義は 赤血球における酸化ストレス応答 であると考えられる。

グルタチオン の還元に NADPH が使われることがメカニズムと考えられる。詳細は NADPH のページ で解説している。

2 加水分解 6-ホスホグルコノラクトナーゼ
3 脱炭酸 ホスホグルコン酸デヒドロゲナーゼ
4 異性化 リボース-5-リン酸イソメラーゼ
5 エピマー化 リブロース-5-リン酸-3-エピメラーゼ
6 開裂 トランスケトラーゼ
7 トランスアルドラーゼ
8 トランスケトラーゼ


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G6PD について

内容が増えてきたら、独自のページを作ります。

グルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ (EC 1.1.1.49) は、解糖系 glycolysisの中間代謝産物であるグルコース-6-リン酸 G6P を脱水素する酵素である (1)。その水素はペントースリン酸経路で NADP+ を NADPH に還元するために使われる。解糖からペントースリン酸経路への入口の反応である。

G6PD 活性の低下は、赤血球の溶解 hemolysis をもたらし、hemolytic anemia の原因となる (1)。この事実は、ペントースリン酸経路の意義を考える上で重要である。

すなわち、NADPH に含まれる高エネルギーの電子は、FAD を経由して グルタチオン の還元に使われる (1)。G6PD の活性が低下すると、酸化ストレスへの感受性が高くなる。つまり、最も表現型として現れやすいペントースリン酸回経路の機能は、赤血球への酸化ストレス耐性付与であると言える。

G6PD deficiency はマラリアへの耐性をもたらしたため、約 10% の African-American がこの変異をもっている。


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References

  1. Amazon link: ストライヤー生化学: 使っているのは英語の 6 版ですが、日本語の 7 版を紹介しています。参考書のページ にレビューがあります。
  2. パブリック・ドメイン, https://ja.wikipedia.org/w/index.php?curid=1255867
  3. Amazon link: ハーパー生化学 30版.