核内受容体:
脂溶性リガンドと結合するタンパク質ファミリー
protein_gene/n/nuclear_receptor
2018/04/03 更新
- 概要: 核内受容体とは
- 核内受容体の一般的な構造
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概要: 核内受容体とは
核内受容体は、NR0 から NR6 の 7 つのファミリーに分けられている (3)。文献 1 では、これを踏まえた上でさらに機能ごとに核内受容体を分類している。このサイトでは、文献 1 の分類方法を踏襲するが、まだ分類途中。
核内受容体には、リガンドが同定されていない
NR0 ファミリー
NR0B |
両方とも orphan receptor である。 NR0B1: DAX1。 NR0B2: SHP。 |
NR1 ファミリー
大きなファミリー。
NR1A |
|
NR1B |
いずれも tretinoin (レチノイン酸) で活性化される。 NR1B1: Retinoic acid receptor-α (RARA)。 NR1B2: Retinoic acid receptor-β (RARB)。 NR1B3: Retinoic acid receptor-γ (RARG)。 |
NR1C |
ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体という日本語名よりも PPAR の方が馴染み深いだろう。 |
NR1D |
NR1D1: Rev-Erb-α、リガンドが不明な orphan receptor。 NR1D2: Rev-Erb-β、リガンドが不明な orphan receptor。 両者ともサーカディアンリズム、代謝、炎症などに関連する遺伝子の発現を制御する。 |
NR1F |
|
NR1H |
NR1H4: Farnesoid X receptor (FXR)、胆汁酸が natural ligand。Ref 1 では α ではなくただの FXR だが、FXRα と書かれる場合もある。マウスには 4 つの splice isoform があり、FXRα1 - 4 と呼ばれる。。 NR1H5: Farnesoid X receptor-β、オキシステロイド類および胆汁酸が natural ligand。 NR1H3: Liver X receptor (LXR)-α、オキシステロイド類が natural ligand。 NR1H2: Liver X receptor (LXR)-β、オキシステロイド類が natural ligand。 |
NR1I |
NR1I1: Vitamin D receptor。 NR1I2: Pregnane X receptor (PXR)。PXR の活性化は、肝細胞の増殖を促進し、肝臓を肥大させる。PPAR や CAR のアゴニストにも似た作用がある。Steroid and xenobiotic receptor (SXR) とも呼ばれる。 NR1I3: Constitutive androstane receptor (CAR)。Xenobiotics, androstanes が natural ligand と考えられている。 |
NR2 ファミリー
Ref 1 には、NR2 ファミリーとして A, B, C, E, F のみが載っている。
NR2A |
NR2A1: Hepatocyte nuclear factor-4-α (HNF4A) NR2A2: Hepatocyte nuclear factor-4-γ (HNF4G) Hepatocyte でなく hepatic と書かれている場合もある。 |
NR2B |
NR2B1: Retinoid X receptor-α (RXRA) NR2B2: Retinoid X receptor-β (RXRB) NR2B3: Retinoid X receptor-γ (RXRG) |
NR2C |
NR2C1: Testicular receptor 2 NR2C2: Testicular receptor 4, TR4 orphan receptor, TAK1 などとも呼ばれる orphan receptor。 |
NR2E |
NR2E1: TLX。Tailless はもともとショウジョウバエで発見された遺伝子で、マウスなどのオーソログはそれと似ているという意味で X がつく。 NR2E3: Photoreceptor-specific nuclear receptor (PNR)。 2 番は欠番のようで、少なくとも Ref 1 には含まれていない。 |
NR2F |
いずれも orphan receptor。1, 2, 6 のみが Ref 1 に載っている。 NR2F1: COUP-TF1 NR2F2: COUP-TF2 NR2F6: V-erbA-related gene |
NR3 ファミリー
Estrogen receptors, estrogen-related receptors, 3-ketosteroid receptors の 3 グループにされに分けられる。
NR3A |
以下の 2 つとも、17β-エストラジオールが代表的なリガンドである。 NR3A1: Estrogen receptor-α、ESR1 とも呼ばれる。 NR3A2: Estrogen receptor-β、ESR2 とも呼ばれる。 |
NR3B |
さらに 3 つに分けられ、いずれも orphan receptor。略称には ERR と ESRR の両方が使われるが、マウスでは公式遺伝子シンボルは Esrr である。 NR3B1: Estrogen-related receptor-α とも呼ばれる。 NR3B2: Estrogen-related receptor-β とも呼ばれる。 NR3B3: Estrogen-related receptor-γ とも呼ばれる。 |
NR3C |
さらに 4 つに分けられる。 NR3C1: グルココルチコイド受容体。コルチゾル cortisol およびコルチコステロン corticosterone が主な内在性リガンド (1)。デキサメタゾン dexamethasone は人工のアゴニスト。 NR3C2: ミネラルコルチコイド受容体。 NR3C3: プロゲステロン受容体。 NR3C4: アンドロゲン受容体。 |
NR4 ファミリー
神経の成長に関係したきのうをもつ核内受容体。4A1, 4A2, 4A3 があり、全て nerve growth factor IB-like receptors である (1)。3 つとも orphan receptor とされている。
NR4A |
NR4A1: NR4A2: Ventral midbrain dopaminergic neuron の発生に必要で、パーキンソン病 との関係が示されている (4)。 NR4A3: |
NR5 ファミリー
NR5A |
NR5A1: Steroidogenec factor 1。 NR5A2: Liver receptor homolog-1 (LRH-1)。 |
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核内受容体の一般的な構造
A/B, C, D, E および F ドメインから成る。
A/B |
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C |
DNA-binding domain で、もっとも配列の保存性が高い (2)。 |
D |
配列の保存性が低く、C および E ドメインを繋ぐヒンジとしての機能しかもっていないと考えられている。 |
E |
Ligand-binding domain |
F |
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References
- Nuclear hormone receptor list. IUPHAR/BPS Guide to pharmacology. Link: Last access 10/15/2017.
Kumar and Thompson, 1999a. The structure of the nuclear hormone receptors. Steroids. 64, 310-319.Nuclear Receptors Nomenclature Committee, 1999a. A unified nomenclature system for the nuclear receptor superfamily. Cell 97, 161-163.Kadkhodaei et al. 2013a. Transcription factor Nurr1 maintains fiber integrity and nuclear-encoded mitochondrial gene expression in dopamine neurons. PNAS 110, 2360-2365.