C. elegans の Foxo、DAF-16: 寿命との関係など

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このページの最終更新日: 2024/12/15

  1. 概要: C. elegans の FoxO: DAF-16

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概要: C. elegans の FoxO: DAF-16

Foxo は細胞分裂、代謝、アポトーシスなどを制御する転写因子である (参考: Foxo メインページ)。Foxo の機能解析には、C. elegans の Foxo である DAF-16 という分子の研究が大きく貢献した。このページは、daf-16 に関する研究を中心にまとめたものである。

なお、小文字で daf-16 と書いた場合は遺伝子を、大文字で DAF-16 と書いた場合はタンパク質を意味する。

C. elegans では、daf-2 遺伝子 (インスリン/IGF 受容体をコード)の変異体は寿命が長くなることがよく知られている (4R)。この 長寿表現型には daf-16 が必要である (5) こと、つまり daf-2/daf-16 double mutant は寿命が長くないことが 1997 年に報告され、 daf-16 と寿命の関係が盛んに研究されるようになった。

> daf-2 変異体では、さまざまな組織で DAF-16 の核への蓄積がみられる (2I)。

> age-1 変異体では 27 °C にするとやや核に局在する。完全に核局在しなくても dauer へ移行できる (7 )。

> daf-2/daf-16 double mutant の各組織で DAF-16 を発現させた論文 (2R)。

  • DAF-16 発現によりどの程度寿命がレスキューされるかによって、どの組織で DAF-16 が重要かを調べている。
  • 神経では 5-20% 程度回復。予想外に短かったのでいろいろ検討したが、やっぱりそうだった。
  • 一番回復したのは腸 (脂肪組織 )で、50-60%。
  • ただし、dauer formationへの寄与が最も大きいのは神経だった。

> C. elegans で、ストレスによる DAF-16 の局在変化を調べた論文 (7R)。

  • DAF-16:GFP fusion protein を使用。ほぼ全身、とくに神経系で強く発現する。Functional であることも確認されている。
  • DAF-16:GFP を過剰発現すると成長が遅くなる。逆に、DAF-16 をノックダウンすると成長が早い。
  • DAF-16:GFP を発現させると、寿命とストレス耐性が増大する。
  • 飢餓、熱ストレス、酸化ストレスで DAF-16:GFP は核へ移行する。UV 処理ではなぜか移行しない。

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カロリー制限との関係

C. elegans では、少なくとも以下の 8 種類のカロリー制限 dietary restriction 法がある (6I)。

  • eat-2 という遺伝子の変異で、餌を食べる能力が低下して結果的に DR になる。
  • Liquid culture において餌の濃度を下げる方法 x 2 種類。
  • DR のような表現型を引き起こす薬品 x 2 種類。
  • 培地上で飼育した際に、ペプトンの量を減らすことでバクテリアの増殖を遅くする。それを食べる C. elegans も DR になる。
  • プレート上に全くバクテリアをおかない (dietary deprivation, DD)。
  • プレート上でバクテリア量を段階的減らす。107 - 1013/mL の範囲で幅広く (solid DR, sDR) 。

 

このなかで DAF-16 の果たす役割は実は小さく、sDR による寿命延長にしか必要でない (6I )。他の文献からの関連する記述は以下の通り。

> DAF-16 は IISの低下に伴う寿命延長には必要だが、DRによる寿命の延長に必要ではない (1)。Drosophila でも FoxO は DR に伴う寿命延長に必要ではない (6I)。哺乳類ではまだテストされていない。

> Sir2 overexpressionによる寿命延長にはDAF-16が必要 (1)。

: 哺乳類でも、Sir2 ortholog SIRT1はFOXO3を直接脱アセチル化して活性を制御する (3R)。

> Germ cellsを取り除くとC. elegansは長寿になるが、このときにintestine DAF-16がはっきり核移行する (1)。

> 熱ストレスでもDAF-16は核へ移行する (1)。


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References

  1. Kenyon 2005a (Review). Cell 120, 449-460.
  2. Libina 2003a. Cell 115, 489-502.
  3. Brunet 2004a. Science 303, 2011-2015.
  4. Kenyon 1993a. Nature 366, 461-464.
  5. Ogg 1997a. Nature 389, 994-999.
  6. Greer & Brunet 2009a. Different dietary restriction regimens extend lifespan by both independent and overlapping genetic pathways in C. elegans. Aging Cell 8, 113-127.
  7. Henderson & Johnson 2001a. daf-16 integrates developmental and environmental inputs to mediate aging in the nematode Caenorhabditis elegans. Curr Biol 11, 1975-1980.
  8. Henderson & Johnson 2001a. DAF-16/FOXO transcription factor in aging and longevity.