後天性免疫不全症候群 AIDS: 感染経路、症状、診断と治療

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9-2-2017 updated

  1. 定義: AIDS とは
  2. 感染経路
  3. 症状
  4. 診断と治療

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定義: AIDS とは

後天性面英不全症候群 (Acquired immune deficiency syndrome; AIDS) は、免疫能の低下により合併症を発症した状態 (または発症しやすい状態 - 複数の定義がある模様) である。免疫能の低下は、HIV (human immunodeficiency virus) というウイルスに感染することによって引き起こされる。

HIV に感染していても、免疫能が正常に保たれていれば AIDS とは呼ばない (潜伏期間)。しかし、この状態でも他人を HIV に感染させることができる。


  • A disease of humans characterized by defective cell-mediated immunity and increased susceptibility to infections. It is caused by the retrovirus HIV (human immunodeficiency virus). This infects and destroys helper T cells, which are essential for combating infections (1).

感染経路

血液 blood による感染、母子感染、性行為による感染の 3 つの経路がある (1)。血液感染は、麻薬など静脈注射の濫用による感染、血液製剤による感染などに分けられている場合もある (2)。

> 日本では、性行為による感染がもっとも多い (2)。
  • 最近は HIV 感染者数が増加傾向にある。

> HIV にはタイプ 1 とタイプ 2 がある (2)。
  • タイプ 1 は全世界に広がっており、2 は西アフリカ限定。
  • 日本の感染者はほぼタイプ 1 である。タイプ 2 の方が症状が軽い。

症状

HIV 感染初期

HIV ウイルスに感染した直後には、50-90% の患者が 急性レトロウイルス症候群 と呼ばれる以下のような症状を経験する (2)。

  • 発熱: 急性感染者の 80-90% でみられる (2)
  • 発疹: 40-80% (2)
  • 咽頭炎: 50-70% (2)
  • 筋肉痛、関節炎: 50-70% (2)

この時点で検査を受けることが望ましいが、これらの症状は一過的であり、見逃されやすい。次に体調の変化が起こるのは、免疫能が破壊された AIDS 状態であることが多い (2,3)。


エイズ発症後

免疫能が低下する速度には個人差があるが、一般に感染者の CD4-positive な細胞は 40-80 cells/mm3/year の速度で減少する (2)。一般に、CD4-positive な細胞の正常値は 800-1050 cells/mm3 である (2)。

免疫力が低下すると様々な疾患が現れるが、23 のエイズ指標疾患 が定義されている (2)。


診断と治療

全体として、AIDS の患者数は増加傾向にあるが、有効な治療法が開発されており、AIDS は以前のように常に致死的な病気ではなくなってきている (7)。ただし、HIV は宿主ゲノムの中に入り込むので、AIDS の完全な治療 (HIV の完全な除去) はいまだ不可能である。

診断

治療

血中 HIV ウイルス量をできるだけ低く保つことが重要である (2)。HIV が増殖するメカニズムの様々な点をターゲットとした 抗 HIV 治療薬 が使われている。


逆転写酵素阻害剤
プロテアーゼ阻害剤
インテグラーゼ阻害剤
侵入阻害剤
抗 HIV 抗体

HIV はヒトの抗体に認識されにくく、ゆえに HIV をワクチンとして使うことは一般に難しい (4)。Berg の Biochemistry には、HIV に結合する抗体 b12 および 2G12 が紹介されている。どちらも特殊な高次構造をもつようである。

ゲノム編集
  • ZFN というゲノム編集技術によって、HIV 感染の標的となる受容体 (CD4?) をノックアウトした例がある (5)。侵入阻害の一種であると言える。
  • Modified T-cells infusion による HIV の治療が Sangamon BioSciences で検討されている (6)。

これらの薬によって HIV 感染者の予後は劇的に改善している (2)。


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References

  1. Amazon link: Hine (2015). Oxford Dictionary of Biology.
  2. 本田 2012a. HIV/AIDS 感染症の現状と展望. 日耳鼻 115, 759-766.
  3. Fauci et al. 1996a. Immunopathogenic mechanisms of HIV infection. Ann Intern Med 124, 654-663.
  4. Amazon link: ストライヤー生化学: 使っているのは英語の 6 版ですが、日本語の 7 版を紹介しています。参考書のページ にレビューがあります。
  5. Cyranoski 2015b (News). Embryo editing divides scientists. Nature 519, 272.
  6. Lanphier et al. 2015a. Don't edit human germ line. Nature 519, 410-411.
  7. White et al. 2015a (Review). The CRISPR/Cas9 genome editing methodology as a weapon against human viruses. Discov Med 19, 255-262.