クリエイティブ・コモンズの実際の使い方

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4-13-2017 updated

  1. 各種のライセンス
  2. 実際に何を表示するのか
    • Wikipedia の図の場合
    • 論文の図の場合
    • まとめ

著作権のページ を先に読むことをお勧めします。


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クリエイティブ・コモンズの各種ライセンス

著作権 にはいくつかの段階がある。これを示したのが下の図である。


完全に著作権を主張するのが左端の C マークで、よく All rights reserved という言葉とともに表示される。これに対して、完全に著作権を放棄すると、その著作物は パブリックドメイン と呼ばれる。

クリエイティブ・コモンズ はこれらの間に位置しており、著作権が部分的に放棄されているとき、その程度を表すもの である (1)。このページでは BY、SA などの意味は解説していないので、これらについては下記の「クリエイティブ・コモンズのページ」というリンク先を参照のこと。

クリエイティブ・コモンズのページ がわかりにくい理由が、今回熟読してよくわかった。同じものを説明無しに違う言葉で表現していることと、具体例がないことが原因だった。なんとか理解したところを以下の表にまとめる。


用語 意味と具体例

著作権表示
クレジット
コピーライト表示

「氏名、作品タイトルなど」と書かれている部分と、「© 著作権者の名前 公表年の 3 点セット」と書かれている部分がある。後者として理解するのが安全だろう。しかし、実際に問題となるのは「元の図になんと書かれているか」である。

具体例
コモンズ証

「利用許諾書の内容を作品の利用者にわかりやすく伝えるために、利用許諾書の重要な部分を要約したもの」のことらしい。

その作品の利用者ができることとできないことが簡潔に示されているもののようで、クリエイティブ・コモンズライセンスのもとで他者の作品を利用するときには、コモンズ証ページの URL を記載しなければならない。

コモンズ証のページの URL は 元の作品が何を表示しているかによらず、必ず記載しなければならないもの である。

具体例
  • このリンク先 がコモンズ証。
  • リンクとして記載するのがウェブサイトでは普通だと思うが、URL を示すなら https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0/deed.ja のようになる。

利用許諾書
リーガルコード?

利用許諾書 = リーガルコード というはっきりした記載が見当たらないが、FAQ から推察するに両者は同じものを指すのだろう。

コモンズ証が簡易版、利用許諾書が正式なもの。

具体例

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実際に何を表示するのか

FAQ のページ によると、以下のものを記載することになっている。黒字は「元の作品に表示があれば」という条件つき、緑は「必ず記載」である。

元の作品を利用した二次著作物でない場合には、

  1. 元の作品の「© 著作権者の名前 公表年」の3点セット (これを「著作権表示」又は「クレジット」と呼ぶことがあります)
  2. 元の作品の作者名、スポンサー、タイトル
  3. 元の作品の著作権表示かライセンス情報に関するページへの指定された URL
  4. 元の作品についているライセンスの URI (コモンズ証のページの URL)。同じバナーを貼っても良い。
  5. 元の作品についているライセンスの告知文、および免責文。

ウィキペディアの図の場合

ウィキペディアは、親切にも画像を使う場合のクレジットまで提供してくれている。

たとえば、遺伝学の重要な概念である遺伝的浮動genetic drift のページでは、「ボトルネック効果」という言葉の説明として Wikipedia から図を転載してある。


このときのクレジット表示は

By TedE, CC BY-SA 3.0, Link


である。これは以下のようにして手に入れることができる。


  1. ボトルネック効果のページ (英語) でイメージをクリックする。
  2. 下のような画面になり、イメージは右クリックでダウンロードすることができる。ライセンスは右下に表示されている。この画像の場合 CC BY-SA である。
  3. 画面右下のダウンロードボタンをクリックすると、You need to attribute the author というウィンドウが開く。
  4. これをクリックすると、Plain text および HTML のクレジットが表示されるので、これを使えばよい。
  5. この作品の場合は By TedE, CC BY-SA 3.0, Link であり、CC BY-SA 3.0 の部分がコモンズ証へのリンクになっている。つまり、必ず記載しなければならない 元の作品についているライセンスの URI (コモンズ証のページの URL) が含まれている。


二次著作物でない場合には、上記の 5 つのものを記載する必要があるが、4 以外は「元の作品に記載されている場合」という条件付きである。したがって、記載するのは 元の作品から得られるこれら情報で必要十分である と考えてよいだろう。CC のリンクがちゃんと入っているかどうかだけチェックするようにしたい。


論文の図の場合

雑誌の著作権に関する姿勢一覧 のページを参照のこと。ここでは、クリエイティブ・コモンズを採用している雑誌 の場合、何を表示すればいいのかを解説する。

このサイトでは、ラットの OFC、イヌの起源、免疫沈降などのページで論文の図を記載している。

下記のイヌの起源を示した図は、Cell Reports という雑誌に掲載されていた論文のものである。Authour guide によると Cell Reports に論文を発表した著者は 2 つの CC ライセンスを選ぶことができる。(3)。CC BY または CC BY NC ND である。しかし、実際に論文をみると CC BY NC SA となっているので、これを使うことにする。


クリエイティブ・コモンズのページ によると、CC BY-NC-SA は「原作者のクレジット (氏名、作品タイトルなど)を表示し、かつ非営利目的に限り、また改変を行った際には元の作品と同じ組み合わせのCCライセンスで公開することを主な条件に、改変したり再配布したりすることができるCCライセンス」である。したがって、表示すべき下記の 5 項目のうち、とりあえず 1 と 4 が必須である。

  1. 元の作品の「© 著作権者の名前 公表年」の3点セット (これを「著作権表示」又は「クレジット」と呼ぶことがあります)
  2. 元の作品の作者名、スポンサー、タイトル
  3. 元の作品の著作権表示かライセンス情報に関するページへの指定された URL
  4. 元の作品についているライセンスの URI (コモンズ証のページの URL)。同じバナーを貼っても良い。
  5. 元の作品についているライセンスの告知文、および免責文。

このほか、元の論文を見ると下のような著作権に関する注意書きがある。



これは 5 に相当しそうである。したがって、この図を載せるときには、以下のように書かねばならないと思われる。

  • Wang et al. 2016a. Out of southern East Asia: the natural history of domestic dogs across the world. Cell Res 26, 21-33. This license allows readers to copy, distribute and transmit the Contribution as long as it attributed back to the author. Readers are permitted to alter, transform or build upon the Contribution as long as the resulting work is then distributed under this is a similar license. Readers are not permitted to use the Contribution for commercial purposes. Please read the full license for further details at - http://creativecommons.org/ licenses/by-nc-sa/4.0/

これはちょっと長ったらしい。どうせ文章の部分は by-nc-sa のページに書いてあるのだから、これをリンクにして

  • Wang et al. 2016a. Out of southern East Asia: the natural history of domestic dogs across the world. Cell Res 26, 21-33. CC-BY-SA 4.0.

と書ければいいのだが。


このサイトでは、reference では短いバージョンで書いて、ページ下方に告知文を載せることにしようかと思う。


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References

  1. クリエイティブ・コモンズ ライセンスとは. Link.
  2. そのクレジット表記で大丈夫?クリエイティブ・コモンズ (CC) 画像の使い方。 Link.
  3. Cell Reports, Author guide. Link.

参考図書