セットシフティング

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5-13-2017 updated

  1. 概要: set shifting とは
    • Attentional set shifting
  2. Set-shifting を検出する実験
  3. 関係する脳領域
  4. 病気との関係

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概要: Set shifting とは

定義 definition

Set shifting の定義を色々なところから拾ってみた。

  • Set-shifting is the ability to move back and forth between tasks, operations, or mental sets in response to changing goals or environmental experiences. Set-shifting is a function primarily linked to the prefrontal cortex. Studies show difficulties in set-shifting are associated with anorexia nervosa, in particular to childhood perfectionism (4).
  • 状況に応じて柔軟に行動を変化させる能力 (2) 。Winconsin card sorting test で検査することができ、prefrontal region の損傷で失われる。

Set-shifting を理解するためには、実験方法から入るのが良さそうである。まずは Winconsin card sorting testID/ED set shifting task を読んでほしい。すると、set-shifting には次の 2 つの要素があることがわかる。

  1. 逆転学習 reversal learning 。過去の記憶を新しい情報で上書きする作業である。
  2. 状況に対して柔軟に行動を変化させるためには、更新された記憶に基づいて新しい行動を起こすことが必要である。

文献 10 では、「逆転学習は simple form of behavioral flexibility entailing shifts between different stimulus - reward associations within a particular dimension 」と表現されている。

Reversal learning には orbitofrontal cortex が、その後の extradimensional shift には prefrontal cortex が密接に関わっている (5)。


Attentional set shifting とは

Attensional set shifting も、なかなかわかりやすい形で定義が論文に書かれていない概念であるが、これは attentional set を切り替える ことである。Attentional set について、わかりやすい英語のページがあったので意訳、転載する (6)。


この段落の中で、何かとくに目立つところがありますか? もし私が「ハイライトされた単語を探して下さい」と頼んだら、この最初の数個の文章の中で黄色く ハイライトされた単語を探すことはとても簡単でしょう。 あなたは、上からハイライトされた単語だけを辿って読んでいくこともできると思います。 これは、あなたの眼と脳が、白の背景と色のついたの背景を瞬時に識別しているということです。


では、この段落で黄色くハイライトされたところを探すのには、 時間がかかったでしょうか? おそらくあなたは「いや別に」と答えると思いますが、 あなたは「ところ」の部分をきっと 2 回見ているはずです。 ここで、あなたはおそらく searching strategy を「ハイライトされた単語を探す」から、「黄色くハイライトされた単語を探す」に変えたはずです。 もし、黄色のハイライトだけを含む部分がもっと長ければ、自分がどういう strategy をとっていたか認識しやすいかもしれません。


このような visual searching strategy を attentional set と言います。Attentional set は、「ハイライト」「黄色くハイライト」などの特定の刺激を優先させる情報処理法の一つで、私たちに自然と備わっているものです。この set を脳の中に作ることで、余分な情報をカットして効率的な処理を行うことができますが、一つの set をいつも使えるはずもなく、必要に応じて shift させなければならないという欠点もあります。


以下の例では、attentional set を arbitrary internal rules と記述している。

  • Attentional set shifting is a measure of cognitive flexibility and executive functions. It refers to the ability to switch between arbitrary internal rules (5).

Set-shifting を検出する実験

ヒトでは、ウィスコンシンカード分類課題ID/ED set shifting task が方法として確立されている。

一方、齧歯類では広く用いられている方法は無いようであるが、色々な方法が提唱されている。

  • Two-chamber ID/ED "Operon" task for mice (5)

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関係する脳領域

Set-shifting には複数の phase があり、関係する脳の領域が異なる。さらに、ヒトと rodent で位置的な対応と機能的な対応が異なる可能性もあるので注意するべきである。これは、たとえばヒト dorsolateral PFC が rodent medial PFC に機能的に対応しており、ヒト mPFC と書かれているときに混同しないように、ということである。

Rodent

Rodents では、reversal learning には orbitofrontal cortex が、その後の extradimensional shift には medial PFC が関わっている (5,8)。

不明、未整理

Dorsolateral prefrontal cortex (dlPFC) の機能不全との関係が指摘されている (3I)。

病気との関係

多くの病気で、set-shifting impairment が指摘されている。


メカニズムとしては、逆転学習 reversal learning の不全や PFC-mediated inhibition など多くのケースがあると思われる。

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References

  1. Amazon link: ベアーズら 2007. 神経科学 ― 脳の探求.
  2. ヒトおよびサルにおける前頭前野の機能イメージング. 研究報告 Web.
  3. Waltz and Gold 2007a. Probabilistic reversal learning impairments in schizophrenia: further evidence of orbitofrontal dysfunction. Schizophrenia Res 93, 296-303.
  4. F.E.A.S.T.'s Eating Disorders Glossary. Web.
  5. Scheggia et al. 2014a.The Ultimate intra-/extra-dimensional attentional set-shifting task for mice. Biol Psychiatry 75, 660-670.
  6. Attentional Set: Set in stone? Web.
  7. Waltz et al. 2013a. The roles of reward, default, and executive control networks in set-shifting impairments in schizophrenia. PLoS ONE 8, e57257.
  8. Placek et al. 2013a. Impairments in set-shifting but not reversal learning in the neonatal ventral hippocampal lesion model of schizophrenia: Further evidence for medial prefrontal deficits. Behav Brain Res 256, 405-413.
  9. Floresco et al. 2008a. Inactivation of the medial prefrontal cortex of the rat impairs strategy set-shifting, but not reversal learning, using a novel, automated procedure. Behav Brain Res 190, 85–96.
  10. Floresco et al. 2009a (Review). Neural circuits subserving behavioral flexibility and their relevance to schizophrenia. Behav Brain Res 204, 396-409.

参考図書