セットシフティング課題 (げっ歯類、動物実験)

experiments/behavior/rodent_set_shifting
5-13-2017 updated

  1. ラット の automated test

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ラット の automated test

文献 1 で提唱されたテスト。Set-shifting および逆転学習 reversal learning の概念を理解する助けになると思うので、詳しく解説する。このグループは、他にも maze-based set-shifting task に関する論文を発表している。

Initial visual cue discrimination

最初に、ラットはライトが点灯した方のレバーを押すようにトレーニングされる。これが initial visual cue discrimination である。

  1. 全てはレバーやライトがあるチャンバーの中で行われる。初期状態では、チャンバーは暗く、レバーは引っ込んでいる。
  2. 20 s ごとに、どちらかのレバーの上のライトが点灯し、3 s 後にチャンバー内の明かりがついてレバーが出てくる。
  3. 正解 であるライトが点灯した側のレバーを押すと、レバーは引っ込み、餌が出てくる。
  4. チャンバー内の明かりは、餌が出てから 4 秒後に消え、初期状態に戻る。
  5. 不正解 である逆側のレバーを押したときには、レバーは引っ込み、直ちに明かりが消えて初期状態に戻る。餌はもらえない。
  6. 10 s 以内にレバーが押されなかったときは、チャンバーは初期状態に戻り、その回の正解/不正解は記録されない。

Floresco 2008

実験は 2 回を 1 セットとし、右または左のライトがランダムな順番で 1 回ずつ点灯する。これは、ラットがレバーの位置で学習しないように、頻繁に左右を変えるためと思われる。実験は、以下のいずれかの条件を満たしたときに終了とする。

  • 最低 30 回のトライアルを行い、ラットが 8 回以上連続して正解した場合。トレーニングは終了で、実験は次の段階に移る。
  • 120 回のトライアルが行われた場合。おそらく、学習が成立しなかったと考えるのだろう。

Shift to response discrimination

次に、成立した上記の学習をシフト させる。

  1. 点灯するライトの左右に関わらず、常に左または右のレバーが餌を与える。Side bias というのを考慮しているらしい。
  2. 上記の実験と同様に、実験は 2 回を 1 セットとし、右または左のライトがランダムな順番で 1 回ずつ点灯する。
  3. その他の条件は上の実験と同じで、 10 回連続で正解するか、120 回の試行で終了となる。

エラーの解析法方

シフトしたのち、ラットは間違い (エラー) を示すが、このエラーは次のように分類、解釈される。

Preservative errors

Set-shift する前の strategy に基づいて生じる間違いのこと (1)。この場合は、例えば「常に右のレバーが正解」という状況で左のレバーの上のライトが点灯し、左のレバーを踏んでしまったような場合である。ただし、数が少ない場合は偶然の可能性もあるので、16 回の連続したトライアル中に 6 回以上このミスがあったときに preservative error のスコアがついてしまう。

Regressive errors

ラットが preservative error に至らずに 16 回のトライアルを終えたとき (ミスが 5 回以下だったとき)、逆転学習は成立したとみなし、以下のミスは regressive error としてカウントする。

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References

  1. Floresco et al. 2008a. Inactivation of the medial prefrontal cortex of the rat impairs strategy set-shifting, but not reversal learning, using a novel, automated procedure. Behav Brain Res 190, 85–96.