てんかん: 病態、原因、治療など

UBC/brain/epilepsy

このページの最終更新日: 2024/02/14

  1. 概要: てんかんとは
  2. てんかんの原因

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概要: てんかんとは

てんかん epilepsy は、全人口の約 1% で発症する神経系の異常である (2)。大脳神経細胞の過剰な発火に由来する反復性の発作症状を主徴とした慢性的脳疾患である (4)。運動・知党・精神・自律神経の機能障害や意識障宮などの臨床所見を伴う。

患者の 40% は、現在の治療法ではその痙攣 seizure をコントロールすることができないため、有効な治療法の確立が強く望まれている。

側頭葉てんかん (TLE; temporal lobe epilepsy) は、側頭葉 temporal lobe の異常が原因で起こるてんかんであり、薬が効かないてんかんでよくみられるタイプである (2)。

TLE の 40 - 65% は、側頭葉だけでなく海馬にも異常 (とくに硬化 sclerosis) が認められる (2)。これは MTLE (medial temporal lobe epilepsy) とも呼ばれる。なお、Temporal lobe は大脳皮質の一部 (表面のみ) であるが、medial temporal lobe と言った場合には内側の構造 (海馬, 脳幹 brainstem, amyglada ) も含まれる。

てんかんの原因

痙攣の原因

てんかんによる痙攣は、脳 brain で高周波の活動電位 action potential が発生することによる (1)。つまり、脳の神経細胞 neuron が同調して発火するということ。

TLE では、temporal lobe における ATP 産生の低下が認められる (2)。

組織硬化の原因

治療のため切除された側頭葉や海馬を解析すると、40-65% の症例で海馬の硬化 sclerosis が発見される。このてんかんと hippocampal sclerosis の関係が報告されてから 2 世紀が経つが、未だに原因か結果かわからない (2)。

てんかんの治療

有効な治療薬が限られているため、未だに temporal lobe や海馬 hippocampus の切除が行われている (2)。

てんかんの治療薬

ベンゾジアゼピン系の抗てんかん薬 (ジアゼパム、ニトラゼパム、クロナゼパム) はミオクローヌス発作、小児難治性てんかんなどに有効である (4)。また、酢酸テトラコサクチド (ACTH) およびビタミン B6 の大量投与は、小児難治性てんかんに有効である。


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References

  1. Clare et al. 2000a (Review). Voltage-gated sodium channel as therapeutic targets. Drug Discov Today 5, 506-520.
  2. Lauritzen et al. 2015a (Review). Monocarboxylate transporters in temporal lobe epilepsy: roles of lactate and ketogenic diet. Brain Struct Funct 220, 1-12.
  3. Amazon link: ベアーズら, 2007. 神経科学 ― 脳の探求.
  4. Amazon link: ナースのためのくすりの事典 2017年版: 使っているのは 2007 年版ですが 2017 年版を紹介しています。

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