水素結合

UBC/biochemistry/bond_hydrogen

このページの最終更新日: 2024/05/16

  1. 定義
  2. 水分子の水素結合
  3. DNA の水素結合

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概要: 水素結合とは

電気陰性度の高い原子 electronegative atom である N や O と結合した水素原子 H は、微弱な正電荷 δ+ を帯びる。この正電荷と、electronegative atom の負電荷の間に正じる結合を水素結合 hydrogen bond という。静電的相互作用 の一種である。

水素結合のもつエネルギーは 共有結合 よりも著しく弱く、4 - 20 kJ/mol である (1)。また、共有結合の約 1.5 オングストロームよりも長い結合を作ることができ、1.5 - 2.6 オングストロームの長さをもつ。

水分子の水素結合

水分子 H2O は、構造上ほかの物質と水素結合を作りやすい。その結果、水は粘性、表面張力および沸点が分子量から考えられるよりもはるかに高い、特殊な溶媒 solvent になっている (1,2)。

一つの水分子は、3.5 個 の水分子と水素結合している (2)。これらの結合は非常に弱く一過的であり、一つの水素結合の half-life は数ピコ秒である (2)。

> 液体の状態では水分子が活発に動き、他の分子と寿命が短い水素結合を形成 (5)。

  • 37°C のとき、15% の分子は 4 つの水分子と結合した状態にある。
  • この短い結合は、flickering cluster と呼ばれる。

温度が下がると、水分子の運動が緩やかになってきて、分子が直線的に並ぶ傾向が強くなってくる。すなわち、O-H という結合の延長線上にもう一つの H がくるように配列される。この構造では、液体の水よりも分子間の隙間が大きくなるので、氷の方が水よりも体積が大きい (密度が低い) のである。

なお、分子内の O と H の距離は約 0.1 nm (図 1)、水素結合を形成する O と O の距離は 0.27 nm である (5)。


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References

  1. Berg et al. 2006a. (Book). Biochemistry, 6th edition.

Berg, Tymoczko, Stryer の編集による生化学の教科書。 巻末の index 以外で約 1000 ページ。

正統派の教科書という感じで、基礎的な知識がややトップダウン的に網羅されている。その反面、個々の現象や分子に対して生理的な意義があまり述べられておらず、構造に偏っていて化学的要素が強い。この点、イラストレイテッド ハーパー・生化学 30版 の方が生物学寄りな印象がある。

英語圏ならば学部教育向けにはややレベルが高い印象。しかし、基本を外さずに専門分野以外のことを 研究レベルで 英語で読みたいという日本人には非常に適しているだろう。輪読とかにも向いているかもしれない。翻訳版はストライヤー生化学として売られている。