NMR による GABA の検出
other_metabolites/others/gaba_nmr
2018/03/11 更新
- 脳の 1H NMR
- J-editing による定量
- 2D-NMR による定量
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脳の 1H NMR
図は グルタミン酸 からの GABA 合成を示したものである。この反応はグルタミン酸脱炭酸酵素 GAD に触媒され、神経系では GABAergic neuron のみで起こる。
生理的 pH では、GABA には 3 つの化学的に異なるプロトンがあり、それぞれが NMR で検出される。ケミカルシフト は以下の表の通りであるが、2CH2 と 4CH2 の値に混乱がみられる。おそらく、有名な文献 (1) と (2) で値が入れ替わっているが、他の論文の表現は文献 2 を支持している。下の表には、総合的に判断した値を載せている。
Group | Shift in H2O (ppm) | Shift in D2O (ppm) | Multiplicity | J (Hz) | Ref |
2CH2 | 2.2840 | 2.2828 | Triplet | 7.755, 7.432, 6.173, 7.933 | 1, 2 |
3CH2 | 1.8890 | 1.8888 | Quintet | 10.578, 6.982 | 1, 2 |
4CH2 | 3.0128 | 3.0082 | Multiple | 5.372, 7.127 | 1, 2 |
: [1-13C]Glu注入下、GABA H2 と Glu H4 triplet 2.35 ppm を初めて in vivo で別々に定量した文献。
: Gln H4 triplet 2.46 ppm も見分けるのが難しい。
: GABA-T の阻害剤 vigabatrin を投与する前と後のスペクトルの差分をとって検出。
: そうでないと、他の化合物のピークと重なってしまい同定できない。
なお、GABA は13C-NMR でも定量可能であるが、脳内の濃度が低いので正確な定量は難しい。
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2CH2 の triplet
図は ラット rat の脳抽出物の 1H-NMR spectrum である。
2CH2 の triplet の左半分はグルタミン酸 Glu のピークと重なっているが、右半分は GABA のみのピークである。ただし、これは低分子代謝産物のみを抽出した場合であり、タンパク質などの高分子が含まれるときはもちろんこの限りではない。
3CH2 の quintet
同じラット脳抽出物の spectrum での 3CH2 の quintet。NAA のクリアな 2.01 ppm のピークの右側にある。
GABA 3CH2 は対称な quintet (5 個のピーク) であるが、左から 2 番目のものだけが 酢酸 のピークと重なるため、このような形に見える。
J-editing による定量
J-editing という方法を使うと、ヒトおよびラットの脳内で正確な in vivo 定量が可能である (2)。
2 次元 NMR による定量
文献 (5) に実例あり。
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References
Govindaraju et al. 2000a. Proton NMR chemical shifts and coupling constants for brain metabolites. NMR Biomed 13, 129-153.de Graaf 2007a. In viso NMR Spectroscopy.Yang et al. 2005a. In vivo detection of cortical GABA turnover from intravenously infused [1-13C]D-glucose. Magn Reson Med 53, 1258-1267.de Graaf et al. 2006a. Acute regulation of steady-state GABA levels following GABA-transaminase inhibition in rat cerebral cotex. Neurochem Int 48, 508-514.Kapogiannis et al. 2013a. Posteromedial cortex glutamate and GABA predict intrinsic functional connectivity of the default mode network. NeuroImage 64, 112-119.