DNA ミスマッチ修復:
大腸菌型、ヒト型の修復機構など

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2018/10/12 更新


  1. 概要: ミスマッチ修復とは
  2. 大腸菌型ミスマッチ修復
  3. ヒト型ミスマッチ修復

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概要: ミスマッチ修復とは

ミスマッチの蓄積は、細胞の老化やがんに繋がる恐れがあるため、できる限り DNA 複製の際に修復する必要がある。

ヒトでは、ミスマッチ修復に関連する遺伝子の変異や、エピジェネティックな silencing が リンチ症候群 という病気をもたらすことも知られている (3)。この病気は、大腸、子宮内膜、胃、卵巣などにおける若年性がんの原因となり、全大腸がんの約 5% に関与していると考えられている。

修復する鎖を決定する方法

この項目について調べてみた理由は、「DNA polymerase はどうやって二本鎖 DNA の一方を修正するように決定するのか」という質問を受けたためであった。DNA polymerase の場合は、単に 3' 末端のミスマッチを認識しているだけのようである。調べている過程で、ミスマッチ修復に関するわかりやすい総説をみつけたので、DNA polymerase 以外のミスマッチ修復機構についてまとめておく。

ミスマッチの修復機構は、大まかにヒト型と大腸菌型に分けられるらしい (3)。どちらの場合でも、修正する鎖を認識するのはエンドヌクレアーゼである。


大腸菌型ミスマッチ修復

修復は以下のように進む (3)。

  1. MutS がミスマッチ塩基対を認識し、MutL と相互作用する。
  2. MutS-MutL 複合体が制限酵素である MutH を活性化し、その認識配列 GATC が切断される。
  3. 鋳型側の DNA は、メチル化修飾を受けている ため、新生鎖のみが切断される。

大腸菌では GATC という配列でしかミスマッチ修復が起こらないということか?


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ヒト型ミスマッチ修復

MutS および MutL のオーソログが大腸菌と同じように機能するが、MutH オーソログがヒトに存在しないことから、ミスマッチ修復の機構は長い間未解明であった (3)。

この論文をあまり読み込んでいないのだが、Incision Occurs Without Strand Bias とあり、leading strand ではどちらの鎖も同程度で修正されたようである。ということは、leading strand の方が変異が入りやすいということになる。続報を待つ。

  1. ヒトでは MutL 自身がエンドヌクレアーゼ活性をもち、ミスマッチ塩基の両側を切断する。PCNA, RFC, ATP などに依存的な切断である。
  2. MutL が切断する鎖を決めるのは PCNA である (4)。PCNA は DNA 上を図のようにスキャンし、3'-OH を認識して MutL に伝える。DNA 複製が分かれて起こる lagging strand では、これで新生鎖のみが修復されると考えて良さそうである。図の A のような場合。
  3. Leading 鎖の場合には、PCNA は何を手がかりに新生鎖を特定するのか?

From PNAS. See Ref. 4.


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References

ページ移転のため番号が飛んでいますが、本文の内容と対応しています。

  1. 福井 2015a (Review). DNA ミスマッチ修復系における DNA 切断活性の制御機構. 生化学 87, 212-217.
  2. Pluciennik et al. 2010a. PCNA function in the activation and strand direction of MutLα endonuclease in mismatch repair. PNAS 107, 16066-16071.