DNA ミスマッチ修復:
大腸菌型、ヒト型の修復機構など
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このページの最終更新日: 2024/02/14- 概要: DNA 修復の種類
- ミスマッチ修復とは
- 大腸菌型ミスマッチ修復
- ヒト型ミスマッチ修復
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概要: DNA 修復の種類
生物は、DNA の変異を修復するためのメカニズムもを多数もっている。簡単にまとめる。いずれ、このページをミスマッチ修復専用にして、DNA 修復の概要のページと分離する。
一本鎖 DNA 損傷の修復
直接修復 |
メチル化 DNA からのメチル基の除去、ピリミジン二量体の開裂など、変異を直接修復する。 |
除去修復 |
変異の入った部位を除去してから、相補鎖の情報を使って復元する。
|
切断修復 |
一本鎖 DNA の切断部位を再結合させる修復。 |
二本鎖 DNA 損傷の修復
DNA 鎖が二本とも切断されてしまった場合には、以下の二種類の機構で修復される。
相同組み換え |
Homologous recombination。細胞分裂中なら、その 染色体 には相同な染色体が存在する場合が多い。これを利用して修復する。Crossing over の機構とよく似ている。 |
非相同末端再結合 |
Non-homologous end-joining, NHEJ。切断された DNA の末端を繋ぐメカニズム。ただし、単に二本鎖の末端を繋いでしまうことで、deletion 変異を引き起こすことがある。 |
Tumor-suppressor genes も老化に伴ってメチル化される (1)。 |
ミスマッチ修復とは
ミスマッチの蓄積は、細胞の老化やがんに繋がる恐れがあるため、できる限り DNA 複製の際に修復する必要がある。
ヒトでは、ミスマッチ修復に関連する遺伝子の変異や、エピジェネティックな silencing が
修復する鎖を決定する方法
この項目について調べてみた理由は、「DNA polymerase はどうやって二本鎖 DNA の一方を修正するように決定するのか」という質問を受けたためであった。DNA polymerase の場合は、単に 3' 末端のミスマッチを認識しているだけのようである。調べている過程で、ミスマッチ修復に関するわかりやすい総説をみつけたので、DNA polymerase 以外のミスマッチ修復機構についてまとめておく。
ミスマッチの修復機構は、大まかにヒト型と大腸菌型に分けられるらしい (3)。どちらの場合でも、
大腸菌型ミスマッチ修復
修復は以下のように進む (3)。
- MutS がミスマッチ塩基対を認識し、MutL と相互作用する。
- MutS-MutL 複合体が制限酵素である MutH を活性化し、その認識配列 GATC が切断される。
鋳型側の DNA は、メチル化修飾を受けている ため、新生鎖のみが切断される。
大腸菌では GATC という配列でしかミスマッチ修復が起こらないということか?
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ヒト型ミスマッチ修復
MutS および MutL のオーソログが大腸菌と同じように機能するが、MutH オーソログがヒトに存在しないことから、ミスマッチ修復の機構は長い間未解明であった (3)。
この論文をあまり読み込んでいないのだが、Incision Occurs Without Strand Bias とあり、leading strand ではどちらの鎖も同程度で修正されたようである。ということは、leading strand の方が変異が入りやすいということになる。続報を待つ。
- ヒトでは MutL 自身がエンドヌクレアーゼ活性をもち、ミスマッチ塩基の両側を切断する。PCNA, RFC, ATP などに依存的な切断である。
- MutL が切断する鎖を決めるのは PCNA である (4)。PCNA は DNA 上を図のようにスキャンし、3'-OH を認識して MutL に伝える。DNA 複製が分かれて起こる lagging strand では、これで新生鎖のみが修復されると考えて良さそうである。図の A のような場合。
- Leading 鎖の場合には、PCNA は何を手がかりに新生鎖を特定するのか?
From PNAS. See Ref. 4.
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References
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福井 2015a (Review). DNA ミスマッチ修復系における DNA 切断活性の制御機構. 生化学 87, 212-217.Pluciennik et al. 2010a. PCNA function in the activation and strand direction of MutLα endonuclease in mismatch repair. PNAS 107, 16066-16071.
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