生体に必須のアミン関連化合物 コリン:
構造、機能、代謝など

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このページの最終更新日: 2020/06/11

  1. 概要: コリンとは
  2. コリンの誘導体とその機能
    • アセチルコリンとその受容体
    • ホスファチジルコリン (細胞膜の構成成分)

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概要: コリンとは

コリン choline は、図のような構造 (コリンのクロライド塩, 2) をもつ必須栄養素である。


コリンの構造的な分類はやっかいであるが、このサイトではアミン amine の一種としている。アミンとは「アンモニア ammonia の水素が炭化水素基に置換されたもの」である。コリンの場合、3 つの H がメチル基に置換され、さらにそれが CH2CH2OH と結合していると考える。

なお、N への CH2CH2OH の結合は配位結合なので、全体として電子が 1 つ足りない状態になり、分子としては正電荷を帯びる。このような分子は 第 4 級アンモニウムカチオン と呼ばれ、常に正に帯電する。この構造から、コリンはアミノアルコールとも称され (3)、トリメチルエタノールアミンという呼び方もある。

図のように Cl- をはじめ様々なイオンと塩を形成する。岩波 理化学辞典 第5版 (Amazon link) では、OH- と結合しているものをコリンと定義しているが、他の陰イオンとの塩もコリンと呼ぶ例が多いようである。

コリンの物理的性状

シンカリン sinkalin、ビリノイリン bilineurine、アマニチン amanitine とも呼ばれる (4)。


コリンの誘導体とその機能

アセチルコリンとその受容体

アセチルコリンは1914年に英国の生理学者ヘンリー・デイルによって発見された最初の神経伝達物質である。副交感神経や脊髄運動神経で主に働くほか,中枢でも重要である。

  • マイネルト基底核では,コリン作動性ニューロンが9割を占める (6)。
  • アルツハイマー病患者で不足がみられる (6)。

生合成

  • コリンアセチルトランスフェラーゼによって,コリンとアセチルCoAから合成される (6)。
  • 有機水銀はコリンアセチルトランスフェラーゼの作用を阻害する (6)。

神経伝達物質としてのアセチルコリン

  • ボツリヌス毒素はアセチルコリンの放出を阻害し,全身の筋肉を弛緩させる (6)。
  • ACh はシナプスから放出されたあとアセチルコリンエステラーゼによって直ちに分解される (6)。
  • サリンはこの酵素の阻害剤である。筋肉が収縮を続け,呼吸困難などを引き起こす。
  • 南米の矢毒クラーレの有毒成分ツボクラリンは,ニコチン受容体に結合しAChの作用を阻害する (6)。
  • ナス科の植物ベラドンナに含まれるアトロピンやスコポラミンは,ムスカリン受容体を阻害する (6)。「ハムレット」で父王の毒殺に用いられたのがベラドンナである。

アセチルコリン受容体 acetylcholine receptor は、リガンドであるアセチルコリンの結合によって Na+ および K+ を透過させるような構造変化を起こす ligand-gated channel である (5)。

2種類の受容体があり,神経筋接合部と自律神経節にはニコチン受容体が,中枢神経にはムスカリン受容体が存在する (6)。


ホスファチジルコリン

リン酸化された phosphatidyl choline は細胞膜の主要なリン脂質である。Choline はコリンキナーゼによりリン酸化されると O-phosphocholine になる。これが cytidyldiphosphate choline に、さらに phosphatidylcholine に変換される。


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References

  1. Blusztajn 1998a. Choline, a vital amine. Science 281, 794-795.
  2. By Dschanz (own work (drawn with MDL ISISDraw®)) [Public domain], via Wikimedia Commons
  3. A Dictionary of Biology (Oxford Quick Reference)
  4. 岩波 理化学辞典 第5版: 使っているのは 4 版ですが 5 版を紹介しています。
  5. Berg et al. Biochemistry, Seventh Edition: 使っているのは 6 版ですが 7 版を紹介しています。
  6. 脳単: 語源から覚える解剖学英単語集

語源から覚える解剖学英単語集の第 3 段。

監修のことばにも書かれているが、脳は他の組織よりも構造が複雑である。それは、脳の領域が全体的に繋がっていて、区分がはっきりしていないためである。これに伴って用語にも混乱が生じており、たとえば脳幹 brain stem という単語が示す領域は文献によって異なっている (これもこの本に書かれていた)。したがって、良いアトラスを持っていることは脳について学習・研究するために非常に重要である。

この本は、ヒトの脳の様々な部位の名称が日本語と英語で対応づけて書かれていて、イラストも美しくわかりやすい。厚くはないが、 原著論文に出ている用語はほぼ網羅しているので、ぜひ手元に一冊置いておきたい本だ。


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