LNA プローブを用いた in situ ハイブリダイゼーション

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このページの最終更新日: 2024/02/14

  1. 概要: LNA プローブとは
  2. LNA プローブの設計
  3. ハイブリダイゼーション

in situ hybridization のメインページ にはここからどうぞ。


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概要: LNA プローブとは

LNA は locked nucleic acid の略で、リボース環の 2 位の酸素原子と 4 位の炭素原子がメチレン架橋された核酸 nucleic acid のことをいう (図、ref. 6)。

標的 DNA および RNA との結合が安定 であるため、Tm 値を高く保ったままプローブを短くすることができる。短い miRNA は、LNA などの修飾核酸を用いないと基本的にハイブリでは検出できない。

LNAの構造

このページでは、LNA プローブを用いた in situ hybridization についてまとめる。In situ hybridization についての一般的事項は in situ hybridization のメインページ を参照のこと。簡単に原理を示した図 (Public domain) だけ載せておく。

In situ ハイブリダイゼーションの原理

LNA プローブの設計

一般に、プローブが長いと標的 mRNA との結合力が増し (Tm 値が高くなり)、検出感度が高くなる。ただし、細胞内へのプローブの浸透が弱くなる場合もあり、この場合は検出感度が低下してしまう。また、長いプローブの方が非特異的な結合も増えるので、バックグラウンドが高くなる。

プローブの長さは、以上のバランスを考えて設定する。RNA プローブでは、一般に数百から 1,500 塩基ぐらいである。これも、in situ のメインページ に詳しい情報がある。

長さ、LNA の数、Tm 値

LNA プローブでは、20 - 30 塩基で、半分以下程度の塩基を LNA にして Tm を 80 ˚C 前後にするのが一般的なようである。

miRNA を in situ で検出する場合、Tm は 80 - 90 ˚C ほどに設定されている (4)。

プローブ濃度は、ハイブリダイゼーションバッファー中 0.5 - 25 nM (3), 50 nM (5) など、いずれも nM オーダーでかなり低い。濃度が高いほどシグナルは上がるが、バックグラウンドも増える (5)。

> ニワトリ胚のホールマウント in situ (3)。

  • 12 - 24 nts. 3 塩基ごとに LNA にする のが、Tm 値の上昇、バックグラウンドシグナル、ハイブリ温度のバランス的に最もよかった。
  • RNA プローブには、DIG-labeled nucleotide は 10 - 15 nt に 1 個ぐらい取り込まれる。1 kb probe なら、約 75 個以上の DIG が含まれる。
  • LNA プローブには、最高で 2 個 (3' および 5' 末端) しか DIG をつけることができない。

> LNA プローブを用いたカブの in situ 論文 (2)。

  • 2 つのよく似た遺伝子を見分けるため、変異が多い領域で短いプローブを作成。
  • GTAcatatccaacTGgCtctcGTTG のように、一部のみ LNA (大文字)、他は DNA (小文字)。25 塩基。
  • 上のプローブだと、DNA, RNA, LNA含有のときに Tm はそれぞれ 57˚C, 67˚C, 82˚C。
  • ドットブロットで特異性を確認、実際に in situ を行っている。DIG は 3' 側のみだが、長い DNA, RNA プローブよりも検出感度が高かった。おそらく細胞への浸透性が高いためか。

DIG の数

文献 4 に "We (unpublished observations) and others [15] have observed that double-DIG-labeled LNA probes produce significantly higher signal than single-DIG-labeled probes." という記述がある。

シグナルが単に 2 倍になるだけではない、ということなのだろうか。いずれにせよ、DIG は 2 つつけておいた方が良さそうである。

ただし、single DIG でも成功している例はたくさん存在する。文献 2 では、3' DIG のシグナルはドットブロットでは RNA probe (数多くの DIG を含む) よりも低いが、in situ ではむしろ高かったことから、細胞への浸透性が高いのかもしれないと議論している。

文献 5 では、5' DIG のプローブを 50 nM の濃度でハイブリに使い、NT2 cell line で miRNA を検出できている。

ハイブリダイゼーション

文献 3 の組成 (プローブ以外): 50% formamide, 5x SSC, 2% blocking powder, 0.1% Tween-20, 0.1% CHAPS, 50 mg/mL yeast RNA, 5 mM EDTA, 50 mg/mL heparin, and DEPC water.

Yeast RNA は、

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References

  1. By J3D3 - Own work, CC BY-SA 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=20727722.
  2. 石川ら、2010a. Locked nucleic acid (LNA) を利用した高性能ハイブリダイゼーションプローブの作製. 新潟大学農学部研究報告 63, 35-39.
  3. Darnell et al., 2010a. Whole mount in situ hybridization detection of mRNAs using short LNA containing DNA oligonucleotide probes. RNA 16, 632-637.
  4. Jørgensen et al., 2010a. Robust one-day in situ hybridization protocol for detection of microRNAs in paraffin samples using LNA probes. Methods 52, 375-381.
  5. Nouraee et al., 2010a. Assessment of tissue distribution and subcellular localization of miR-302 and miR-21 by means of in situ hybridization technique. J Cell Mol Res 4, 1-10.

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