ELISA: 原理、種類、プロトコールなど
UBC/experiments/protein/elisa
- 概要: ELISA とは
- 直接吸着法
- サンドイッチ法
- 競合法
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概要: ELISA とは
ELISA は enzyme-linked immunosorbent assay の略で、酵素結合免疫吸着法などという日本語訳もあるが、略称でエライザと呼ばれるのが一般的である。
抗体 を用いて、抗原となるタンパク質などの量を比色法によって定量するのが一般的な ELISA である。以下のような特徴がある。
- 抗体を用いた検出法である ウエスタンブロット などと比較して
高感度で定量性が高い 。 - 放射性物質を用いたラジオイムノアッセイという方法があったが、安全性の問題から現在では ELISA が多く使われている。
- 安価で簡便であるため、アレルゲンの検出、病原性微生物の検出などに幅広く用いられている手法である。
ELISA は、検出原理によって直接吸着法、サンドイッチ法および競合法に分類される。いずれの方法でも、一般に 96 穴のプレートが使われ、抗原の濃度に応じて液体に色がつくため、写真のような結果が得られる (Public domain)。
結果の一例 (Public domain)。患者 A, B, C からサンプルを採取して、2 倍、10 倍、100 倍に希釈したものを ELISA にかける。ポジティブコントロールとネガティブコントロールは必須である。患者 A は陰性、B と C は陽性だが、患者 C では試料を 100 倍に希釈しても検出されているので、抗原量は B よりも C の方が多いことがわかる。
直接吸着法
抗原が固相に吸着しているので、直接吸着法 direct ELISA はウエスタンブロットに近いイメージ。以下の図 (1) では、ウイルスが試料の場合を例に説明されている。
直接吸着法の特徴は以下の通り。
- タンパク質が吸着するプレートやガラスビーズなどを固相として用いる。抗体も吸着してしまうので、ウエスタンや 免疫染色 と同様にブロッキングが必要となる。
- 簡便であるが、たとえばタンパク質が抗体結合部位で固相に吸着した場合には検出されないため、微量な領域での定量が不正確になる可能性がある。
サンドイッチ法
サンドイッチ法では、固相に吸着した
番号は図 (2) の 1 - 5 に対応している。
- この方法では、一つの抗原に対して 2 種類の抗体を使う。まず、捕獲抗体を抗原に吸着させる。
- ブロッキング後に試料を加えると、抗原が捕獲抗体に結合する。
- 捕獲抗体とは異なる部位を認識する一時抗体を加える。
- 洗浄後、一時抗体を認識する二次抗体を加える。
- 基質を加えて検出する。
サンドイッチ法では、抗原認識部位の異なる 2 つの抗体が必要である。さらにこれらの抗原認識部位は立体構造上で遠く離れていることが望ましい。
抗体を 2 種類使うため、サンドイッチ法の特異性は非常に高い。捕獲抗体の量が十分でないと、高濃度域でサチュレーションすることがあるため、試料に希釈系列を作ることが重要である。
競合法
競合法 competitive ELISA では、濃度が高いほど発色が抑えられる。プロトコールの概要は以下の通り (3)。
- まず抗体を固相に吸着させる。
- 次に、濃度既知の標識抗原を用意し、試料溶液 (濃度未知) と混合する。この混合液を 1 の抗体と反応させる。
- 抗体と反応しなかった抗原を洗い落とし、基質を加えて発色させる。
- 試料溶液の抗原は、標識抗原と抗体への結合において競合する。したがって、試料溶液の抗原濃度が高いほど、発色が弱くなる。
純度の低いサンプルや、特異性の低い一次抗体を利用できるのがメリット。
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References
- By Cavitri - Own work, CC BY 3.0, Link
- MBL ライフサイエンス ELISAの原理と方法. Link: Last access 2019/01/17.
- By Jeffrey M. Vinocur, CC BY 2.5, Link
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