Bruker Topspin: 使い方、コマンドの一覧など

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このページの最終更新日: 2024/02/14

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  1. 概要
  2. ベースライン
  3. ピークの選択
  4. RG および NS の影響

関連ページ

  1. TopSpin の基礎

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概要

NMR では、ピーク面積は原則として測定対象となる原子核の数に比例する。したがって、HPLC などのようにピーク面積を測ることで物質を定量することができる。

基本的な手順は以下の通り。

  1. Phase を合わせる。
  2. ベースラインを引く。
  3. ピークを選択する。
  4. 数字をチェックする。

Bruker TopSpin 3.6 を使って、実際にピークの定量を行ってみる。注意すべき点は、シグナルの絶対値は receiver gain とスキャン数に影響される ことである。

このページには、とりあえず phase、baseline なども含めた手順を書いておく。内容が増えてきたら独立したページを作る。

フェイズおよびベースライン

apk コマンドで自動フェイズ調整ができるが、目的とするピークが必ずしも良く phase されるとは限らない。ph コマンドで手動でフェイズ調整し、bas でベースラインを合わせる必要がある。

ph で手動フェイズ調整モードに入る。0 order と 1st order の phase がある。

0 order では、赤い線 (pivot) を中心に phase する。自動で最大のピークが pivot になるが、一番端にあるピークがそれなりに大きい場合はそれを pivot とする方法もあり、これもよく使われる。

1st order phase は、0 order で設定したもの以外の phase を合わせる。

ベースラインは、Mac version の TopSpin では保存されないというエラーがあったことがある。何回か bas を繰り返し、ちゃんと設定したベースラインが保存されているかどうかチェックする。

手動のベースライン設定は、デフォルトでは A から E の 5 つのパラメーターで設定する。それぞれ違った動きをするので、実際に試してみると良いだろう。

ピークの選択

int コマンドでピーク選択モードに入る。広い範囲を指定しても、ベースラインが適切に設定されていれば数値がずれることはないが、なるべくピークのみを選択するようにしよう。

RG および NS の影響

いずれもスキャンをする際によく変更するパラメーターである。

RG は receiver gain で、つまり NMR 受信コイルの感度である。コマンド rga で自動設定、rg で値を入力して手動設定。

NS は number of scan、つまりスキャン回数である。サンプル量が少ないときにスキャン回数を増やす操作がよく行われる。

int で得られるピーク面積の絶対値は、RG および NS に比例する。要はシグナルの単純な積算値であり、何も補正が行われていないということ。実際に グリシン のピークを使って測定してみたので、その値を記録しておく。


Scan

NS

RG

Peak Area

Comment

1

8

0.25

191,838

最低値、これを基準に考える。

2

8

1

739,651

Scan 1 の約 4 倍、RG の影響

3

8

2

1,467,356

Scan 2 の約 2 倍、RG の影響

4

32

1

3,068,640

Scan 2 の約 4 倍、NS の影響

5

128

1

12,357,587

Scan 4 の約 4 倍、NS の影響


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