NMR のパルスシークエンス

UBC/experiments/nmr/pulse_seq

このページの最終更新日: 2021/02/07

  1. 概要: パルスシークエンスとは
  2. 個々のパルスについて
    • 90° パルス
    • 30° および 60° パルス
    • 180° パルス
  3. よく使われるパルスシークエンス

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概要: パルスシークエンスとは

NMR の概要 のページにあるように、磁場の中にある磁性核は、特定の周波数の電磁波を吸収し核磁気共鳴を起こす。しかし、その周波数は磁性核の状況によって異なるため、様々な周波数の電磁波をサンプルに照射しないといけないことになる。

また、共鳴周波数は外部磁場にも左右されるので、測定中に磁場がずれると、結果は滅茶苦茶になってしまうだろう。したがって、外部磁場を固定しつつ、照射する電磁波の周波数を連続的に変化させる必要がある。これを sweep といい、かつての NMR はこの方法を取っていたため continuous wave NMR (CW-NMR) と呼ばれた (1)。

なお、周波数を一定にしつつ磁場を変化させる方法もあった。

CW-NMR には、以下のような問題点があった。

  • 周波数を変えていくので時間がかかる。
  • 周波数が本当に「連続的」でないと、共鳴周波数を見逃す恐れがある。

これらの問題点を解決したのが パルスシークエンス法 である (1)。この方法では、「パルスの時間が短いと、パルスに含まれるエネルギーの幅が広がる (時間とエネルギーの幅を同時に小さくすることはできない)」という不確定性原理 uncertainty principle を応用している。

すなわち、様々な波長の電磁波を含むパルスを短時間 (ms or µs 単位) 照射し、多くの核を一斉に励起する。ただし、この場合 NMR シグナルは多くの核からのシグナルの和になるため、フーリエ変換によってスペクトルを解析する必要がある。フーリエ変換 NMR も参照のこと。




個々のパルスについて

パルスシークエンスは、以下の図 (Public domain; COSY の例) のように表される。


基本的には、以下のようなパラメーターから成る。

90° パルス

核スピンを 90° 傾けるパルス。周波数は共鳴周波数だが、主にパルスの長さによって 30°、60°、90° などの違いが出る。

180° は FID を与えず、90° が最大の FID を与える。


30° および 60 ° パルス


180 ° パルス


よく使われるパルスシークエンス一覧

多くは Bruker TopSpin にデフォルトで入っているパルスシークエンスの情報である。Bruker のマニュアルより。


1H NMR のパルスシークエンス

Sequence 特徴など

zg

シンプルな 1H NMR のプログラム。

zgpr, zgcppr はともに water suppression の入ったプログラムで、後者の方がより水からのシグナルを抑制できる。水に近いケミカルシフトをもつ分子の観察に適している。Ref.

他にも複数の water suppression がある。詳細は water suppression のページ を参照のこと。

zgpr

Conventional 1D water presaturation.

zgcppr

1D water presaturation だが、composite pulses というのを使っている。



13C NMR のパルスシークエンス

Sequence 特徴など

DEPT

シンプルな 1H NMR のプログラム。



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References

  1. Amazon link: ケンプ 1988a. 化学・生化学・薬学・医学のためのやさしい最新のNMR入門.
  2. 今西ほか (2009a). 心から納得・理解できる MRI 原理と MRS.

イラストを多用した、わかりやすい MRI と MRS の本。基本的に見開きの左が文章、右がイラストという構成。

MRS および MRS で検出できる代謝産物について詳しく解説している本は、日本語では少なく貴重である。NAA や クレアチンといった代謝産物の機能と測定法の概要が書かれている。

もう一つの特徴は、MRI 原理の説明に回転座標系が使われていないこと。そのため、他の教科書とはちょっと異なる説明の仕方になっている。MRI の原理を理解するのは難しいので、色々な方向から眺めてみるという点でもお勧めの一冊である。私が T1, T2 relaxation を理解できたのはこの本のおかげ。

実験書のページ に、その他の NMR 関係の本のレビューがあります。

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