遊走性の食細胞 マクロファージ

UBC/cell/immune_cell/macrophage

このページの最終更新日: 2024/02/14

  1. 概要: マクロファージとは
  2. マクロファージの分極

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概要: マクロファージとは

マクロファージ mabrophage は 血液 に含まれる白血球 leukocyte の一種である。単球 monocyte から分化する。

生体内を動き回り (遊走という)、死んだ細胞、侵入した バクテリア などを 捕食 する。

また、捕食したバクテリアなどの断片を自らの細胞表面に提示する 抗原提示細胞 でもあり、免疫系で重要な役割を担っている。


  • 白血球 Leukocyte
    • 顆粒球 Granulocyte: 内部に顆粒をもつ
      • 好中球 Neutrophil
      • 好塩基球 Basophil
      • 好酸球 Eosinophil
    • 無顆粒球 Agranulocyte: 顆粒をもたない
      • 単球 Monocyte
      • リンパ球 Lymphocytes
        • B 細胞 B cell
        • T 細胞 T cell
          • Naive T cell
          • Effector T cell
            • Helper T cell
            • Cytotoxic (killer) T cell
            • Suppressor T cell など

形態的には、以下のような特徴がある (画像は Public domain)。

マクロファージの特徴

1908 年の ノーベル医学・生理学賞 は、マクロファージの発見 (1982 年) の功績によるものである。イリヤ・メチニコフらに贈られている。


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マクロファージの分極

がん組織に浸潤・集積しているマクロファージは tumor-associated macrophage (TAM) と呼ばれ、大きく分けて M1 および M2 マクロファージに分類される (図、文献 2 より)。

M1 および M2マクロファージの特徴

大まかにいうと、M1 は免疫を活性化し、M2 は抑制する。これらの作用は、炎症系および抑制系のサイトカイン放出によるところが大きい (2)。炎症状態のバランスをとるのが主な機能である。

環境に応じて、マクロファージが M1 または M2 に分化することをマクロファージの分極 macrophage polarization という。

ガン組織だけでなく、アテローム性動脈硬化症組織でも発見される。

M1 マクロファージへの分化およびその状態の維持には、活性酸素 が必要である。ROS は NFκB や p38 MAPK 経路を活性化し、これが分化を促進するという報告もある。


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References

  1. Amazon link: 水島 (訳) 2015a. イラストレイテッド細胞分子生物学 (リッピンコットシリーズ).
  2. Ahmed and Ismail, 2020a. M1 and M2 Macrophages Polarization via mTORC1 Influences Innate Immunity and Outcome of Ehrlichia Infection. J Cell Immunol. 2, 108-115.

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