mRNA のプロセシング

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10-6-2017 updated

  1. 概要: mRNA のプロセシング
  2. イントロンの除去
  3. 5' Cap 構造の付加
  4. poly A tail の付加

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概要: mRNA のプロセシングとは

真核生物では,転写された mRNA は以下のような修飾を受ける (1)。これらを総称して mRNA processing という (参考: 転写の概要)。

  1. イントロン intron の除去
  2. Cap 構造の付加
  3. Poly A tail の付加

原核生物 prokaryotes の遺伝子にイントロンが含まれる場合もあるが,真核生物の核ゲノムに存在するイントロンとは異なっている (2) ので,基本的には上記の mRNA processing は原核生物に存在しないとされる。

原核生物の mRNA では,一つの mRNA から複数のタンパク質が翻訳 translation される ポリシストロン性 が特徴である。


イントロンの除去

イントロンは真核生物 eukaryote の遺伝子に多く存在し,原核生物 prokaryote の遺伝子では極めてまれである。以下の理由から,イントロンは真核生物で挿入されたのではなく,原核生物などで除去された と考えらえている (1)。

  • イントロンの位置は極めて多様な生物で保存されており,1 billion years 前に挿入されていたものもあると考えられている。
  • イントロンを除去するスプライシング splicing の機構は菌類 fungi,植物 plants,動物 animals で保存されている。

イントロンをもつことの意義は,

  • Exon 同士の入れ替え exon shuffling によって新しい機能をもつ遺伝子を作れること (進化的な問題)
  • 選択的スプライシング alternative splicing によって,多様な機能をもつタンパク質を作れること

が考えられている。「exon に変異が入る可能性が下がる」という説明を聞いたことがあったが,確かに上記のような積極的な利点の方が重要に思える。


GT-AG 則

イントロンの配列は,5' 側が GT,3' 側が AG となる場合がほとんどである。私は G タグと覚えている。ネットでは,この規則は極めて保存されていると書かれている。適切な文献が見つかったら追記する。


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5' Cap 構造の付加

5' キャップ構造とは,mRNA の 5' 側に付加される 7-メチルグアノシン のことである。構造は図の通り (3)。


>5' Cap には,少なくとも以下の 3 つの機能がある (2)。
  • Cap 結合タンパク質が最初に結合し,これにリボソームが結合する。つまり翻訳のために必要である。
  • ポリ A 鎖と同様に,mRNA の安定性を向上させる。
  • スプライシングにも影響すると書かれているが,具体的にどう影響するのかは書かれていない。

5' Cap は,通常の核酸の 5' - 3' の結合とは異なり,5' - 5' 結合で付加される (2)。

付加は RNA polymerase に結合するタンパク質によって行われる (2)。5' Cap を付加する酵素は,mRNA を転写する RNA polymerase II には結合するが,I や III には結合しない。したがって,これらの RNA polymerase に転写される tRNA, rRNA, small RNAs に 5' Cap は付加されない。


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References

  1. Amazon link: ストライヤー生化学: 使っているのは英語の 6 版ですが,日本語の 7 版を紹介しています。参考書のページ にレビューがあります。
  2. Amazon link: Pierce 2016. Genetics: A Conceptual Approach: 使っているのは 5 版ですが,6 版を紹介しています。
  3. By Zephyris - English Wikipedia, CC 表示-継承 3.0, Link